【大型貨物自動車への「速度抑制装置装着の義務付け」及び「速度表示装置装着の義務付けの廃止」について】
1. 背景
高速道路における死亡事故の約23%は大型貨物自動車(車両総重量8トン以上又は最大積載量5トン以上の貨物自動車)が原因となって発生しており、その内訳を見ると、約51%が大型貨物自動車による追突事故であり、また、その約85%は、制限速度(80km/h)を超えた速度での走行時に発生しています(1998年(財)交通事故総合分析センターデータ)。この厳しい事故状況に対処するためには、大型貨物自動車の高速走行に対応した事故防止対策を講じることが急務となっており、平成11年6月の運輸技術審議会答申「安全と環境に配慮した今後の自動車交通政策のあり方について」においても、大型車等を対象とした速度制限装置装着の義務付けの検討の必要性が指摘されています。
また、現在、大型貨物自動車について装着が義務付けられている速度表示装置については、規制緩和推進3か年計画において、平成12年度末までに、義務付けの廃止に向け必要な措置を講ずることとしています。
運輸省ではこれらの状況を踏まえ、関係の有識者からなる大型貨物自動車事故防止対策検討会(座長:杉山武彦 一橋大学教授)において検討を行い、「大型貨物自動車について速度抑制装置の装着を義務付けるとともに、速度表示装置装着の義務付けを廃止することが妥当」との結論を得ました。
この結論を踏まえ、今般、道路運送車両の保安基準の改正を行うこととします。
2. 道路運送車両の保安基準の一部改正の概要
(1) 大型貨物自動車への速度抑制装置装着の義務付け
道路運送車両の保安基準第8条を改正することにより、使用過程車を含む大型貨物自動車(車両総重量8トン以上又は最大積載量5トン以上の貨物自動車)について、アクセル操作により加速しようとした場合においても、速度をあらかじめ設定された速度以下に抑制する装置(以下「速度抑制装置」という。)の装備を義務付けます。
なお、使用過程車に対しては、登録日に応じて所要の経過措置を設けることとします(最大2年を想定)。
○速度抑制装置に係る要件
ア 速度抑制装置は、自動車の速度が90キロメートル毎時に至った時に、運転者のアクセル操作により加速できない構造となっていること。
イ 速度抑制装置は、作動した場合に自動車の速度が大きく変化しないなど、自動車の速度を安全に制御できる構造となっていること。
ウ 速度抑制装置は、不正改造が困難な構造となっていること。
(2) 大型貨物自動車への速度表示装置装着の義務付け廃止
道路運送車両の保安基準第48条の3を改正することにより、大型貨物自動車への速度表示装置の装備義務付けを廃止します。
3. 今後のスケジュール
(1) 公布
平成13年3月末
(2) 施行
a. 大型貨物自動車への速度抑制装置装着の義務付け
平成15年9月
b. 大型貨物自動車への速度表示装置装着の義務付け廃止
公布の日
(資料)国土交通省ホームページ