【宅配便業者の幹線輸送の概要】(Q社)
幹線輸送上の課題は、翌々日エリアの解消である。東京を起点とすると、北海道、九州、沖縄が3日目、離島が4日目以降となっている。こうした地域の多くでは、現在でも航空を利用して翌日対応はできているが、一般サービスでこれを実現させたい。
総労働時間の問題への対応としては、ワンマン運行が基本なので、自社ではなるべく距離の短い区間を走らせるようにしている。九州方面は傭車が多い。
【宅配便業者の幹線輸送の概要】(R社)
北海道、九州は長距離輸送となるので、環境問題や事故などを考えると、基本的にはトラックを走らせたくない。現状でも長距離輸送は90%以上が傭車である。
【特積みトラック事業者の幹線輸送の概要】(T社)
モーダルシフトの必要性は痛感しており、関西・中部方面向けには鉄道コンテナも利用している。ただし、関西向けは出発時間が早いこと、固定枠を持っていないため、安定的な利用ができないこと、自然災害に弱いことが問題点である。
(2) トラック輸送を取り巻く新たな状況の変化
大型トラックへのスピードリミッター装着の義務付けや東京都等が検討しているディーゼル車規制などが実施されれば、特積みトラックに限らず、長距離トラック輸送全般に対する制約はさらに大きくなり、鉄道・海運活用の必要性が一層高まるものと考えられる。
1] スピードリミッター装着の義務付け
高速道路における大型トラックの事故防止を図るため、大型トラックに対して速度抑制装置(スピードリミッター)装着が義務付けられることとなった。スピードリミッターの上限速度は時速90kmとし、車両総重量8トン以上、または最大積載量5トン以上のトラックが対象となり、新車だけでなく、使用過程車にも適用される。2001年3月には道路運送車両法の保安基準が改正され、使用過程車については一定の猶予期間が設けられるものの、2003年9月にはスピードリミッターの装着が義務付けられる。
スピードリミッター装着が義務付けられ、法定制限速度が遵守されるようになると、本節で検討している特積みトラックのほか、宮崎県の主要産品である農産物の出荷に対しても大きな影響を及ぼすことが想定される。宮崎〜東京間を時速100kmで走行した場合と、時速80kmの場合の所要時間差は約3.5時間と想定されるが、農産品の出荷においては、複数の卸売市場向けの貨物を積み合わせている場合が多く、輸送時間面でぎりぎりの厳しい条件の中で輸送しているため、スピードリミッターの装着義務付けにより、現行翌々日(3日目)販売となっている関東方面への出荷に大きな制約が生じることが予想される。