4] 求貨・求車情報システムの開発
下に示すASP事業の事例では、給与管理なども含めた物流事業者の業務全般にわたる効率化のための情報システムが商品化されており、そのメニューの1つとして求貨・求車情報システムが開発されている。ASP事業とは、プロバイダのサーバーを活用することにより、各ユーザーはブラウザのみ導入すればサービスが利用できるシステムであり、自社サーバーを設置しなくて済むことから、中小トラック事業者の情報武装の一形態として有力なものといえる。
求貨・求車情報システムも、こうした業務全般の情報化の一貫として導入すれば、中小事業者でも大きな追加負担なしに導入しやすいものと考えられる。
【求貨・求車情報システムのシステム開発事例】
富士通九州システムエンジニアリング(FQS、福岡市)は、物流関連の企業や荷主が輸送車両をインターネット上で安価に管理できるASP(アプリケーション・サービス・プロバイダー)事業に乗り出す。FQSが管理するサーバーに利用する企業や荷主がアクセスし、車両の位置や作業状態を確認し、指示を出す。サービス料金は車両1台当たり5千円からと、独自にシステムを構築するより低価格。9月から開始し、3年後の同事業の売上高を20億円と見込んでいる。
ASPとはネットを通じてソフトを必要なとき必要な分だけ利用する仕組み。FQSは従来、この種のサービスの利用企業ごとにシステムを組んでおり、導入企業側もサーバーの管理が必要だった。ASPにすることで相互の管理負担が減る。
それぞれの輸送車両にカーナビゲーションを載せ、輸送車両の乗務員は荷物の積み降ろしなどの作業状況を入力する。この情報がNTTドコモの回線を通じ、富士通本体が運営する富士通IDC(インターネット・データ・センター)で定期的に位置や稼働状況が集約される。
各情報はネットを通じて荷主や物流センターに配信され、情報を受けた物流企業や荷主の事務所側は、音声と文字により車両に指示を出すことができる仕組み。保冷庫の温度管理なども可能という。
利用料は車両の稼働時間に応じ、1台毎月5千円から。例えば生コンの配送など、車両500台程度を所有する全国の物流企業を顧客に想定している。2000年度中に配車支援システムや荷物と空き車両を適合させる「求貨求車システム」を提供するなど、今後、情報通信技術を活用して自動車の運行を整備する高度道路交通システム(ITS)部門に力を入れる。(後略)
(資料)日本経済新聞(2000年5月2日 地方経済面)