3] 商社系求貨・求車情報システム
商社系の場合、事業化はこれからであり、その事業内容の詳細は明らかでないが、基本的には、荷主でもトラック事業者でもない3PL的な立場から、物流の最適化を図るという視点に立ったシステムになるものと考えられる。
【商社系求貨・求車情報システムの事例】
住友商事、三井物産、三菱商事の3社は22日、電子商取引時代に対応した物流情報市場をインターネット上に構築することで合意した。新会社を設立し、荷主企業の荷物輸送情報、運送会社のトラック空き状況をもとに輸送契約を成立させる電子市場を運営する。商品を売買する電子商取引と物流の手配がネット上で同時に可能になる。トラック輸送の効率を高め、企業の物流コスト削減や納期の短縮、都市型公害の低減につなげる。新会社はトヨタ自動車、日本通運など有力企業に広く参加を呼び掛け、約3千社の会員が利用する情報インフラを目指す。
新会社は7月を目処に設立、社長は住商が派遣する。3商社以外には物流コンサルティングで実績がある米KPMGも出資する。トヨタのほか、東芝など主要電機メーカーの物流子会社、日本通運など運送会社は現在出資を検討中。最終的に十数社からそれぞれ1千万―3千万円程度の出資を募って資本金2億円前後で発足し、2001年春から本格サービスを始める。
新会社は3商社の取引先の大手企業に加え、中小企業からも広く会員を集める。メーカーや商社など荷主企業、運送会社、倉庫会社などを組織化し、5年後には会員3,000社が目標。
荷主は電子市場に対し、運んでほしい荷物の種類、量、目的地などを入力。一方、運送会社はトラックの位置情報、空荷状況を提供し、電子市場が両者を突き合わせ、輸送契約を成立させる。電子決済や保険契約もでき、輸送中の貨物の追跡も可能。荷主は配送先に納期情報などをきめ細かく伝えることができる。ネット上で商品を売買する電子商取引が普及するには、低価格・短納期の輸送手段を迅速に手配する仕組みが求められている。
電子市場への参加は有料の会員制とし、1回の情報アクセスにつき200―300円を徴収する。初年度の売上高は約3億円、2002年には約10億円を見込んでいる。当面はトラックの年間輸送量の3割強に相当する約2千万トン分の契約を目標とする。
トラック輸送は現在、鉄道、海運、航空を含めた国内物流全体の6割弱(輸送トンベース)を占めるが、往路と違い復路のほとんどが空荷という状態。一方で、政府や自治体が渋滞緩和と公害低減の観点からディーゼル排ガス規制の強化を準備しており、環境保護の面からも輸送効率の改善が大きな課題となっている。
商社各社は電子商取引の消費者向け拠点としてスーパーやコンビニエンスストアに積極的に投資している。住商、三井物産、三菱商事の3商社は今年初め、管理業務の統合で合意しており、物流の電子市場構築でも手を組むことにした。
(資料)日本経済新聞(2000年5月23日朝刊)