(2) 卸売業者における物流効率化への取り組み
○物流はメーカーから小売店への直送となり、卸売業者は商流のみが経由
一定規模以上のロットで発注できる小売店に対しては、メーカーが直接配送するケースが増えてきており、その場合、卸売業者は、伝票上だけ経由されている。
【宮崎県に本社を置く卸売業者の事例】(G社)
・一定規模以上のロットで発注できる小売店に対して、メーカーが直接配送する場合、当社は、伝票上は経由しているが、実際の物流には関与しない。
○複数の卸売業者が共同で物流拠点を設置し、集荷と小売業への配送を共同実施
小売店がDC型物流センターを設置し、卸売業者を介さずにメーカーから直接仕入れを進める動き((3)参照)に対する危機感から、卸売業者においても、従来とは異なる動きが現れてきている。
宮崎県においては、複数の卸売業者が共同でTC型物流拠点を設置し、共同集荷車が各卸売業者を巡回して集荷し、小売業へ配送している。
これまで卸売業者は在庫を圧縮する方向性にあったが、本事例では、将来的にはDC(デリバリーセンター・在庫型センター)型へ転換する意向であり、まずは、自社で物流拠点を設置しない小規模なスーパーを対象として、一部の商品から開始する予定である。
【宮崎県に本社を置く卸売業者の事例】(G社)
・日用雑貨、菓子類、加工食品、日用衣類、靴など約8,000アイテムもの商品を取り扱っている卸売業者。日用雑貨、菓子類、紙文具について、複数の卸売業者と共同でTC型物流拠点を設置し、毎日昼過ぎに共同集荷車が各卸売業者を巡回して集荷し、翌日小売店へ配送する、全国的にも珍しい"異業種一括配送"を実施している。
・共同物流拠点の理想型はDC型であるとし、2000年秋より、スーパー向けの一部の商品について、DC型の機能を、共同物流拠点に担わせる予定である。また、将来的に参加企業が増えれば、共同物流拠点を完全にDC型に転換したい意向である。
(3) 小売業者における物流効率化への取り組み
1] 小売業における物流拠点設置の動き
○卸売業者やメーカーから各店舗への直接納入を廃止し、商品別に物流拠点を設置、そこから各店舗へ一括配送する体制を整備
熊本県に本社を置く大手スーパーでは、各店舗の在庫削減と発注精度の向上(機会ロスの削減)、発注ロットの拡大による納入単価の低減等を狙って、卸売業者やメーカーから各店舗への直接納入を原則として廃止する方向性を打ち出し、商品別にDC型またはTC型の機能を担わせた物流拠点を整備することによる、物流網の再構築を行っている。