構築した物流網は、他社へも開放し、互いに物流コスト削減につなげることを考えている。また、将来的には、卸売業者やメーカーに対して集荷することも検討している。
【熊本県に本社を置く大手スーパーの事例】(I社)
・各店舗の在庫削減と発注精度の向上(機会ロスの削減)、発注ロットの拡大による納入単価の低減等を狙って、卸売業者やメーカーから各店舗への直接納入を原則として廃止する方向性を打ち出し、商品別にDC型またはTC型の機能を担わせた物流拠点を整備することによる、物流網の再構築を行っている。
・最終的には、九州域内で、加工食品はDC型機能を3カ所、衣料品はTC型機能を2カ所、生活関連用品はTC型機能を3カ所設置し、物流拠点を合計4カ所に集約する予定で、物流拠点から各店舗に一括配送する。
・これによって、従来は、卸売業者やメーカーが、店舗毎の仕分けをして、細かいエリア毎に設置されたTC型物流拠点(デポ)に納品し、そこから業者によって各店舗に配送されていた商品が、当社物流拠点において、店舗別・棚別に仕分けされ、小売店には定時に棚割納品されるようになる。
・物流拠点の運営は、3PL業者に委託することにより、サプライチェーン全体の最適化を効率的に図り、生活者への付加価値創造の早期実現と、物流コストの削減、店舗マネジメントの効率化、本業(売場)への集中を目指している。
・加工食品については、卸売業者を通した流通形態のため、卸売業者に物流拠点の運営を委託した上で、配送業務を運送業者に委託する。衣料品については、メーカーが卸売機能も担っている製造卸売業者のため、物流拠点の運営は直接運送業者に委託する。
・また、精肉、青果等のチルド物流については、当面は、既存のエリア別TC型物流拠点(デポ)を残すものの、将来的にはアウトソーシングをおこなう予定である。
・構築した物流網は、他社へも開放し、互いに物流コスト削減につなげることを考えている。また、将来的には、卸売業者やメーカーに対して集荷することも検討している。
○加工食品メーカーに対して、卸売業者を通さずに自社の物流センターへ直接搬入させ、同センターでメーカーの在庫として保管させる体制を推進
一部の大手量販店においては、複数の加工食品メーカーから、卸売業者を通さずに自社の物流センターへ搬入を受け、同センターにおいて、加工食品メーカーの在庫として商品を保管させる体制の整備を進める動きがある。
【大手量販店の事例】(H社)
・三重県の四日市で、既存の備蓄施設を当社が借り、食品メーカー23社に直接搬入してもらい、在庫を持ってもらっている。
・当社の施設内にメーカーの在庫を持ってもらっていることになるが、メーカーは、いずれにしてもどこかのストックポイントで在庫を抱えているので、メーカーの在庫コスト増加ということにはならない。
・流通経路が短縮されて店頭に並ぶまでのリードタイムが短縮された結果、流通コストの削減という目的だけでなく、商品によっては鮮度が向上し需要の喚起につながったものもある。