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3) 架橋による産業への効果・影響について

(観光業)

平戸は、古代から遣唐使船の寄港地や松浦党の本拠地などとして東洋と西洋の文化の接点地としての歴史を有するとともに、4分の1を西海国立公園に指定された優れた自然環境・景観を有する、古くからの観光の島である。

しかし、架橋当時、一時的に200万人に上った観光入り込み客は、平成4年までは140万人前後を推移してきたが、以降激減し、平成8年は115万人までに落ち込んでいる。このままでは、観光産業が成り立つ100万人を割り込むのではないかという危機感を抱いている。

その要因は、景気低迷による国内観光全体の落ち込みもあるが、平成4年にオープンしたハウステンボスに県外観光客が集中し、県北への高速交通体系の整備の遅れも手伝って、観光客が県南に流れたことによる。

また、平成8年の平戸大橋の通行料の減額による影響で、日帰り客は増えたものの、宿泊客が大幅に減少するという問題も発生している。

 

(商業)

島内消費向けの小売店は、架橋後、食料品を中心とした大規模店舗が立地したが、島外への消費流出は一部あるものの、食料品が中心であるため経営悪化の状況にはない。衣料品等に関しては、平成8年の平戸大橋通行料減額の影響で、島外消費が増加している。

 

(漁業)

架橋によるメリットは、時間にこだわることなくいつでも、どこへでも、安定して出荷できるようになったことである。また、出荷時間の短縮が図られ、鮮度が命である魚の出荷が改善され、活魚輸送も容易になり、価格の高い市場を選択できるようになった。

問題点としては、以下の3点が挙げられる。

1] 魚協組合員の市場への直接出荷が増え、平戸9漁協の中には、共販体制が崩壊もしくは崩壊しかけている漁協があり、経営難に陥っている。

2] 平戸には多数の漁港があるが、架橋により離島振興法の指定解除を受けたため、補助率が下がり、漁港の整備がなかなか進捗しない。

3] 架橋後、車による密猟者や遊魚者が増加し、撒き餌による磯焼けや漁業者とのトラブルを招いている。

 

(農業)

架橋前の生産物は、米、麦、牛、豚、温州ミカン、まゆが中心で、販路は佐世保、福岡を中心とした九州管内がほとんどであった。

架橋された現在では、牛以外では、露地作物の馬鈴薯、玉葱、施設園芸作物のイチゴ、メロン、アスパラガス等や菌床シイタケの生産が伸びている。また、販路も施設野菜を中心として、九州以遠の大阪、神戸、広島、東京と拡大されている。

 

(トラック運送業)

架橋前は、地元トラック運送事業者2社が市内物流のほとんどをまかなっていたが、架橋後は大手宅配事業者の参入により競争が激化し、平成7年には地元1社が撤退した。残りの1社は農協とタイアップし、地元特産品の配送を手掛け、売上に大幅な落ち込みはない。

 

 

 

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