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「フェリーオーシャン」の一般配置図によると、1階出入口の船内側への延長線方向には、1階にも一部設置されている客席があり、上記の長さのスロープを設置できるスペースが不足している。こうしたことから、スロープの設置を検討する際には、現在の客席の配置変更も含めて、その可能性を検討する必要がある。また、出入口の水密を保つため、スロープを設置する際には乗降時以外は取り外し可能な可動式とする必要があると考えられる。(図5-3-2参照)

 

図5-3-2 「フェリーオーシャン」の甲板室ロビーおよび車両区域

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資料) (株)井筒造船所「フェリーオーシャン一般配置図」をもとに三和総合研究所作成

 

3] 船内のバリアフリー化

船内での移動にあたって最大の課題は、2]で述べたように甲板室ロビー階から上層の客席階までの垂直移動である。これについては、エレベーター・エスカレーターのような大規模な改造を伴わずに対応できる方法として、車いす用もしくはいす式の階段昇降機の設置が考えられる。

また、高齢者等に対応した客席の設置、トイレの対応、情報提供設備も必要と考えられる。

 

■階段昇降機の設置の検討

市販の車いす用階段昇降機は、100Vもしくは200V電源で斜度50度まで対応できるものがあるが、設置幅が120〜140cm程度必要であるのに対し、「フェリーオーシャン」の階段幅は約100cm(一般配置図による)しかなく、機器メーカーの個別対応により設置できる可能性もあるが、仮に設置できてもかなりコスト高になると考えられる。

次善の策として考えられるのは、いす式昇降機の設置である。これは主に家庭用であり、階段幅は70cmでも取付可能なものがある。また、本船の階段は非常に急であることから、車いす使用者に限らず、高齢者・身障者等にとっても利用価値があるものと考えられる。

いす式昇降機を設置する場合、甲板室ロビー(1階)に車いすを置いて、昇降機で客席のある2階へ上がることになるため、車いす使用者のためには2階に船内用の車いすを設置しておく必要がある。

 

 

 

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