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2] 乗下船時のバリアフリー化

「フェリーオーシャン」は1995年就航の船舶であり、当面の新船建造の可能性が少ないと考えられることから、同船に対して、当面の対応としてではなく、ある程度本格的なバリアフリー化の対応を行うことが望ましい。ここでは、ある程度の行政等の支援策が行われることを前提として、同船に対するバリアフリー化方策を検討する。

乗下船時については、タラップに段差があること、甲板室出入口に45cmのコーミング段差があること、さらに、「3]船内バリアフリー化」で述べるが、客席が上の甲板にあり階段を上る必要があること、という段差及び垂直移動への対応が最大の課題となる。段差解消については、タラップの改良、スロープ板設置等により解消を図ることが望ましいが、段差が大きいことから、スロープ設置スペースをどのように確保するかが対応の重点となる。

 

■タラップ改良による乗下船時の段差解消

乗下船時の段差のうち、福江港、若松港においては浮き桟橋から乗下船するため、港湾と船舶の高低差はほぼ一定となる。このため、比較的簡易な構造のタラップで段差を解消できると考えられる。

一方、奈留港においては、岸壁からの乗下船となるため、潮の干満によって港湾と船舶の高低差が大きく変動する。このため、潮位に応じて斜度を変化させることが可能なスロープを有するタラップを導入し、段差を解消することが適当と考えられる。

舷門幅は90cmあり、「移動円滑化基準」を満たしていることから、車いすの乗降に対応可能となる。

 

182-1.jpg

簡易な構造のタラップのイメージ

 

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干満差に対応したタラップのイメージ

 

■スロープ板設置によるコーミング段差の解消

出入口のコーミング段差が45cmと大きいことから、スロープを設置する場合、「移動円滑化基準」において旅客施設で許容されている最大斜度の1/8としても、スロープの長さが360cmとなる。

 

 

 

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