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また、乗客が車いすから階段昇降機、階段昇降機から車いすへと移動する際に介助したり、乗客自身の車いすを1階で固定させたりするための人員を必要とする。ただし、昇降機の使用は主に乗下船時であることから、乗組員による対応が可能と考えられる。また、「フェリーオーシャン」には5人の乗組員がいることから、航行中に急に階段昇降機を利用する必要が生じた場合も、連絡ボタン等を設置しておけば対応可能と考えられる。なお、1階には車いすスペースおよび固定装置の確保が必要となる。

いす式階段昇降機の設置を検討する際の課題として、設置費用の経済的課題や階段・手すりの強度等の技術的課題に加え、設置に伴って階段の幅が減少することにより、船舶安全法の規定に抵触しないかどうかの確認が必要である。

 

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■高齢者・身障者等の利用に適した客席の設置

高齢者・身障者等に対応した客席については、階段(昇降装置)付近にリクライニング・跳ね上げ式肘掛け等を有する「基準適合客席」を設置することが望ましい。もしくは、構造上の問題等により困難な場合には、同じ位置の既存の客席を優先席とすることが考えられる。

 

■トイレの段差解消と移動経路の対応

本船はトイレが1階にあるため、トイレ使用時には乗下船時と同様に、2階もしくは3階と1階との間を昇降する必要がある。また、実態把握でみたように、トイレの出入口に段差があり、スペースも十分でないことから車いす対応に改造するのは困難と考えられる。

当航路では最大1時間45分の運航となることから、車いす対応トイレとすることが望ましいものの、現行の船舶では手すりの設置、標識の設置等、対応可能な範囲でバリアフリー化を進めざるを得ないと考えられる。

 

 

 

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