(3) バリアフリー化の対応方向と具体的方策
1] ターミナル内のバリアフリー化
福江港、奈留港については、数年中にターミナルの新設が予定されており、抜本的なバリアフリー化への対応は、それに合わせて行うこととなる。ここでは、既存施設における当面の対応を中心に検討する。
既存施設においては、エレベーターの設置、ボーディングブリッジの設置等は困難と考えられるが、本ケースの対象となる3港では、いずれも旅客の移動経路は平面移動のみであるので、スロープ化による段差の解消等により、最低限の対応が可能と考えられる。
■福江港における段差解消・自動ドア設置の検討
奈留港、若松港では、ターミナル出入口の1箇所をスロープ化し、自動ドアを設置することで、車いす使用者が利用できるようになっているが、福江港では未対応である。また、福江港ではターミナルビルから浮き桟橋までの移動経路についても段差が存在する。いずれも比較的簡易な改造工事で可能と考えられることから、計画中の新ターミナルビルの整備スケジュールを睨みつつ、できれば早期に対応することが望ましい。
■福江港、奈留港における乗船券販売所の車いす対応化
車いす対応が行われていない福江港、奈留港の乗船券販売所において、窓口および記入台を車いすでも利用しやすいように、台の張り出しを設けたり、高さを低めに設定することが適当と考えられる。ただし、奈留港においては3年後には新ターミナルが整備される予定であることから、施設面での対応は行わず、窓口係員の応対で対応することも考えられる。
■各港における誘導用ブロック、情報提供設備、案内板等の設置
福江港、奈留港、若松港のそれぞれにおいて、乗船経路を示す誘導用ブロックの設置、ターミナル出入口付近への案内図の設置(主要設備の配置が分かるもの、できれば点字併用)等を行う。また、運航情報の提供については、当面は掲示および案内放送での対応でよいと考えられるが、掲示については大きくみやすいこと、放送については聞き取りやすいことに留意するとともに、視覚障害者や聴覚障害者に配慮し、必ず掲示・放送の双方で情報を提供することが適当と考えられる。
■乗船経路への雨よけの設置
福江港、奈留港、若松港の各港湾とも、ターミナル〜乗船口間は雨ざらしになっている。車いす使用者は傘をさして移動できないことから、構造的にやむを得ない場合を除き、屋根等の雨よけを設置することが期待される。