(6) バリアフリー化に関する問題点
1] 利用者のニーズの把握
利用者ニーズを把握するため、ターミナル・待合所などにアンケート用紙や投書箱の設置を行っている市町村(佐世保市、口之津町、厳原町、上対馬町)がある。
2] バリアフリー化に関する問題点
■地域特性である大きな干満差による乗降時の急傾斜、ビル内上下移動等が問題点
干満差に伴うタラップの急傾斜、エレベーターや身障者用便所が設置されていないこと、ターミナル(切符売場)から船着場までの移動距離の長さといった点があげられている。
《アンケート調査結果(自由回答)》
・乗降タラップの潮位による急傾斜と、旅客船内の階段等が高齢者には、困難である。(小値賀町役場)
・車いすで2階に行くには階段を利用しなければならないのでエレベーターの設置が要望されている。(厳原町)
・身障者トイレは平成12年度に整備したい。(上対馬町)
・フェリーへの昇降の際、船内の階段があるので、甲板から昇降できるようにターミナルビル内にエレベーターまたはエスカレーターを設置して、段差を解消できないか。(芦辺町)
・福崎地区は浮き桟橋が無く、乗り降りに不便をきたしている。(福島町)
・車いす利用者から階段の一部をスロープにしてほしいとの要望あり。身障者対応トイレの設置要望がある。(長崎市)
・授乳室の設置、車で船の入り口までいけるようにしてほしい、雨にぬれないで、船に乗れるよう、シェルターを設置してほしいと要望がある。浮き桟橋の渡橋は、最干時で約15度近くの傾斜するが、これは高齢者等の足の不自由な方にとってはきついものであり、解消できないか。(佐世保市)
・階段のタイルの色が暗いため、段差が分かりづらい。(島原市)
・港湾バリアフリー化に関しては、市に対して特に指摘されていることはないが、市管理施設のバリアフリー化は、予算の範囲内で進めている。(福江市)
・旅客船ターミナル玄関出入り口のドアが観音開きである。スライド式か自動ドアへの改修が必要と思われる。点字ブロックなどの充実。(上五島町)
・施設(ソフト面含めて)整備・改修に対する財源確保。(福江市)
《ヒアリング調査結果》
・利用者から、車いす対応の電話を設置してほしいという要望がある。(長崎港)
・潮の干満によって3.3mの高低差が生じ、干潮時は浮き桟橋の傾斜が急になり、高齢者、身障者には不便である。桟橋のスパンを長くするにはスペースが必要となり、なかなか困難である。
・高齢者、身障者にとってわずかな段差が怪我の原因となり、岸壁の部分沈下など細かな対応が必要となる。港湾施設は慢性的にその対応を必要とする。
・アンケート調査によれば、自由意見として「お年寄りや足の不自由な方のために、車で船の入口まで行けるように、考えてほしい」「切符売場から船着場まで距離がある。雨や風の日には大変なので、屋根をつけてほしい」といった意見があげられている。(佐世保港)
・エレベーターが設置されていない港湾があることが問題としてあげられる。
・干満の差が大きいため、乗降施設の斜度がきつくなり、車いす等の利用が困難となる場合が発生することも問題といえる。(その他の港湾)