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《ヒアリング調査結果》

・バリアフリー対策設備の投資・維持コスト、特に、エレベーターのメンテナンス費用が気になる。

・バリアフリー化に対応してエレベーター等を設けると、その費用だけでなく、場合によってはトン数の増加により建造費や課税が高騰することも考えられる。一方、規制緩和策により運賃は廉価傾向にあり、収入の伸びは期待できないことから、その費用を企業が負担することは経営を圧迫し、次の新造計画にも影響を及ぼしかねない。

・「ニューたいよう」の船価は3億円であったが、バリアフリー化対応により1割程度は差があると思われる。通路幅(従来600mm)や椅子幅の拡大により、船幅が大きく異なったことが主原因である。座席は旧型のままでは狭くてゆっくり座ることができなかったため、ひとつひとつの幅をすこしずつ広くしたところ結果として船幅が相当広くなってしまった。

・代替船は、バリアフリー化をすすめ、床面の段差をなくしたため、仕切の位置が変わり、床の高さも異なったため、トン数が大きく増加した。船の構造を変えたことにより、同じ大きさの船舶でありながらトン数が大きくなったのだが、こうした事情を考慮してもらうことができなかった。

 

■収入面では、定員減少に伴う多客時の減収のほか、サービス低下も懸念

車いすスペース、スロープ、エレベーター等の設置に伴う旅客定員の減少は、ピーク時には経営的にも影響があるほか、供給不足というサービス低下につながることも懸念されている。

 

《ヒアリング調査結果》

・バリアフリー化による旅客定員数の減少は事業者にとって深刻な影響を与える。しかし、問題は多客期に限定されることとなろう。

・バリアフリー化対応によるピーク時の定員減少は、ピーク時には収入の減少に繋がるため、企業としては痛手である。また、供給不足というサービス低下に繋がるという恐れがある。

・複層のため、エレベータかリフトが必要となるが、その分デッドスペースが増加するため、稼げるスペースとのバランスをみながら整備を進めていく予定である。

・バリアフリー化による定員数減少に伴う減収に対応して、乗組員を削減すれば安全性の問題となるので配慮する必要がある。

 

■その他

その他の課題として、次のようなものがあげられている。

 

《ヒアリング調査結果》

*緊急時の高齢者・身障者等の安全性の確保

・バリアフリー対応の船舶の導入をすすめる一方で、安全性についておろそかにはできない。例えば、通常の救命胴着は健常者用である。身障者に乗船していただくのであれば、避難経路やシューター、救命いかだ等安全面についても対応していかなければならない。

*交通バリアフリー法にかかる行政の検査方法

・交通バリアフリー法は事後チェックという形になると聞いたが、建造後に問題を指摘されるのは問題である。

 

 

 

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