《アンケート調査結果(自由回答)》
*桟橋等が整備されていないので船が良くなってもそれを生かせない。(木口汽船)
*800トンクラスのため車両甲板スペース減少も問題(トイレ等含む)。(有明海自動車航送船組合)
*利用者の減少。(玉之浦町)
■法規制では、安全法等、船舶の安全性確保との両立が大きな課題
船舶の規模によって設備基準が異なり、特に限定沿海区域やフェリーの基準は非常に厳しいが、バリアフリー法と両立した船舶を成立させるため、安全性を確保できる範囲での法規制の見直しが求められている。また、安全性確保のための対応策として、船舶の全部ではなく一部をバリアフリー化するという考え方があげられている。
《ヒアリング調査結果》
・事業者にとっては安全法とバリアフリー化法は別問題なので、それを理解してほしい。
・船舶の規模によって設備基準が異なり、特に小型では平水区域と限定沿海区域でも基準が異なる。また、客船とフェリーによっても異なる。限定沿海区域やフェリーの基準は非常に厳しい。
・高層階においてもコーミング段差が120mm必要とされるなど、船舶の構造上、現在のコーミング段差は、なくてもよいのではないかという部位も多い。
・フェリーでは客室を1階に設置するのが機能的には良いが、元来のバリアフリーの概念に照らせば(行動を制限しないように)上へも上がることができ、部屋の外にも出れるように設計しなければならないだろう。また、現状では規則が障害となり、1階に客室を設置することができない。
・船舶は天候の影響を非常に強く受ける移動体であり、運航安全第一を考慮して設計されている。バリアフリー化に対応させようとすると、設備の重量や反りの構造等、施設的に矛盾する部分も出てくる。現在、法規で定められている船舶の傾斜数値*(キャンパー、シヤー)では手動車いすの移動は困難である。船舶全体のバリアフリー化ではなく、利用に即した特定部分のバリアフリー化(利用実態に照らしたスペース確保:歩行不自由な方専用の客室の設置等)を心がけたい。
*船台は湾曲しており、船台の幅・長さの中央での、ふくらみの量を指す。
■支出面では、バリアフリー化設備に加え、トン数増加に伴う船舶関係コスト全般の上昇
バリアフリー化に伴うコスト増加については、バリアフリー化のための構造・設備に関する初期・維持コストに加え、トン数の増加に伴い、建造費・公租公課等のコスト全般が高くなることが懸念されている。