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また、「輸送需要の拡大」への期待は、民営事業者のみからあげられており、公営事業者からの回答はないが、既にバリアフリー化対応船として就航した「ニューたいよう」の導入により、当初想定していなかった車いす利用者が乗船したという例も報告されている。

 

図3-2-14 バリアフリー化によって期待される効果(複数回答n=31)

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《ヒアリング調査結果》

・本年10月からの規制緩和にあたり、便数増やスピードアップとともに、バリアフリー化への対応もサービス向上の一環である。

・船内でバリアフリー未対応のためにお客様に怪我などが発生すると「あの船は危ない」という評判が起こったり、イメージダウンにつながることも想定される。バリアフリー対応を進めることにより、営業的戦略としても、安全な船であるという点を打ちだしていくことが可能となる。

・現在の船舶は、ある程度スピード化の時代が終わり、次なる対応として、バリアフリー化対応が身障者や高齢者の方々のニーズに沿ったものと考え、「ニューたいよう」を導入したが、それまで車いす利用者はなかったこの航路に、車いすで利用してくれた乗客がいた。もともと離島に車椅子利用者の方はいると想定していなかったこともあり、大変ありがたい結果が得られている。

 

2] 新船導入時にバリアフリー化を進める際の課題

■全般的には、船舶構造に関する法規制との整合性について公営・民営事業者ともに強く認識しているが、収支に関する項目は両者の間で課題認識に大きな相違

交通バリアフリー法により、新船導入時には「移動円滑化基準」に適合させる必要がある。アンケート調査によれば現在、6事業者(鷹島汽船、瀬川汽船、木口汽船、郷ノ浦町、奈留町、有明海自動車航送船組合)で新船の導入が検討されている。

その他の事業者も含め、新船導入時にバリアフリー化を進める際の課題を質問したところ、公営・民営を問わず「船舶構造に関する法規制との両立」をあげる事業者が最も多い。

このほか、民営事業者では、「初期コストの負担」「維持コストの負担」「旅客定員の減少」といった収支に関するものが課題とされているのに対し、公営事業者ではこれらの項目への回答はほとんどなく、代わって、「高齢者・身障者などの意向把握・意見調整」が多くあげられている。

 

 

 

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