4) 着席
■車いす設置スペースはフェリーより設置率高く、優先席等の設置事例もあり
車いすスペースは、50トン以上の船舶の約3割に設置されている。優先席や身障者用対応客席もわずかながら設置例がみられる。
《ヒアリング調査結果》
・船内には、テーブルの横に車いすを固定できるスペースを整備した。客席もリクライニングシートとし、座席横に車いすをおけば客席に移ることができるよう工夫した。また、乗務員はわずか2名であるため、モニタカメラを設置し、ブリッジから状況が把握できるようになっている。(郷ノ首〜福江航路)
5) 副次的行程
■便所については、洋式便所の設置以外全く未対応。遊歩甲板の段差解消は大型船のみ
身障者用便所は、フェリーも含めて唯一先述の「ニューたいよう」に設置されている。これ以外では、便所の段差解消や点字案内などの対応例は少ない。洋式便所はむしろ50トン未満の船舶の方が設置率が高く、約4割となっている。
遊歩甲板の出入口幅員は、50トン以上の船舶では比較的確保されているが、50トン未満の船舶では全く対応できておらず、段差解消については船舶規模を問わずほとんど未対応である。
休憩スペースは、約2割の船舶に設置されている。
《ヒアリング調査結果》
・身障者用トイレを設置した。非常時には外からロック解除可能となっている。室内にも通報ボタンがある。(郷ノ首〜福江航路)
6) 案内
■視覚・聴覚による情報案内はほとんど未対応
視覚や聴覚による情報提供・案内表示は、「ニューたいよう」を除き、行われていない。
《ヒアリング調査結果》
・船内に点字ブロックを設置したところ、結果として、床のほぼ全面に張りめぐらされることととなった。このため、車いす利用者はかえってハンドリングが難しいかもしれない。どっちつかずの対応ともいえるが、入口の段差があるため、警告ブロックを減らすことは難しい。また、点字案内板を船内に設置した。(郷ノ首〜福江航路)
7) 総括
■既存船舶については施設面で全く未対応の場合が多い
バリアフリーの観点からの設備面での対応はほとんど行われておらず、フェリーと比較して小型で狭隘であることから、特に50トン未満の船舶において、通路幅員や舷門・出入口幅も十分でない場合が多い。