1) 乗降用施設
■タラップの通路幅員確保、段差解消はフェリーより対応済の比率が高い
旅客船の場合、乗降方法は基本的にすべてタラップ使用となっている。タラップについては、手すりはほとんどの港湾で設置され、通路幅員も50トン以上の船舶ではおおむね80cm以上確保されているが、50トン未満の船舶では逆にほとんど確保されていない。また、段差解消の対応は約4割で実施され、フェリーよりも高い比率となっている。
2000年7月に郷ノ首〜福江に就航した「ニューたいよう」では、乗降口、船内出入口のいずれの段差も解消されている。
《アンケート調査結果(自由回答)》
*車いす対応の陸上乗降設備4基を有す。(ハウステンボス)
《ヒアリング調査結果》
・乗降口には、フェリーの自動車のランプウェイのように開閉する電動式ドアを設置した。今までは、乗務員が陸上に降り、タラップを陸上側からかけなければならなかったため、省力化されたという効果もある。(郷ノ首〜福江航路)
・乗降施設はスロープ化している。スロープの角度は8%、幅は1,200mmとし、コーミングについても、スロープで対応している。(長崎〜伊王島〜高島航路)
2) 出入口
■コーミング段差の解消率は約1/4、小型船では舷門・出入口幅が確保できず
舷門幅や出入口幅は、50トン以上の旅客船では概ね80cm以上確保されているのに対し、50トン未満では4割弱にとどまっている。コーミング段差についてはタラップの段差よりもやや解消されている比率が低く、全体の約1/4となっている。
3) 船内移動
■小型船では十分な通路幅が確保されておらず、段差解消は大型船も含めて未対応
船内の通路幅は、50トン以上の船舶では概ね80cm以上確保されているが、50トン未満では逆にほとんど確保されていない。
また、フェリーと同様、船内の段差解消が図られている船舶は、ほとんどない。
《ヒアリング調査結果》
・限定沿海を運航している船舶であるため、船内出入口のコーミング段差をなくすことができない。
そのため、車いす利用者向けにスロープを設置した。(郷ノ首〜福江航路)