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4. 藻場、干潟、サンゴ礁が分布する主要沿岸国の沿岸管理制度

沿岸域の利用密度が上がり、利用形態が多様化してくると、様々な利用者間で摩擦が生じる。このような摩擦を解消し、沿岸域システムを将来にわたって十分に機能するためには、1つの機能の発揮が他の機能の阻害にならないような利用、管理を行う必要がある。

ここでは研究対象国における沿岸管理制度に関して表4-1にまとめるとともに、以下に沿岸管理の特徴をまとめる。また、沿岸管理制度の中から特に、海岸、港湾に関する制度については表4-2、3としてまとめた。

 

(1) 日本

日本の沿岸域は、古くから国民生活や産業にとって極めて重要な地域であり、食料取得や交易、物流、レクリエーションの場など極めて多面的に利用されてきた。しかしながら、沿岸域の急激な人口化、環境問題に対する意識の高まりともに沿岸域利用の目的や意識が明瞭に変わり、利用、防災を環境保全と両立させる必要性が生じた。

 

日本の沿岸域の開発・利用に関しては、海岸法、港湾法、漁港法など管轄省ごとに個別の管理制度が存在する。また環境保全に関しても国立公園法、瀬戸内海環境保全特別措置法などがあり、諸外国の様に沿岸域全体を管理する制度がない。

 

(2) アメリカ

アメリカにおける沿岸域管理の特徴は、Coastal Zone Management Act(CZMA)という沿岸域管理に関する特別な法律とそれを執行する単独の業務機関を設置し、国家の沿岸域管理に関する政策を明確にしていることにある。CZMA目的は、現世代および構成の人々のために、国家の沿岸域の資源を保全、保護、開発し、可能な限り再生拡大する事である。これに伴う主要な目標は、次のとおりである。

●脆弱な自然環境源(干潟や海浜、砂丘、サンゴ礁など)を保護すること。

●海岸災害からの人命と財産の損失を最小限にすること。

●政策と業務手順の標準化により行政機関同士の協力の促進と事務手続きの簡素化を計ること。

●沿岸資源の利用、特にレクリエーションのための公共アクセスの確保と都市のウォーターフロントの再開発に対する最良の条件を創造すること。

 

また、大都市周辺を除いて、一般に海岸に住居等を有するのは富裕層に限られることから、海岸の整備もこれら階層への援助と見られがちである。そのほか、フロリダ州等ではリゾートの目玉として、レクリエーション用の養浜が盛んに行われている。

 

 

 

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