(5) 社会・文化的役割
a. レクリェーション機能
サンゴ礁はレクリェーションを支えている。リーフのレクリェーションの価値は、観光による収入で示され、膨大である。世界遺産地域(WHA)であるグレートバリアリーフ観光の財政上の価値はDriml(1994)により推算されており、年間でAUS682,000,000である。1990年にはカリブの観光収入はUS8,900,000,000で、350,000人の雇用があった。
b. 景観的な価値
サンゴ礁には景観的な(美的な)価値がある。計数できないような量のフィルムや写真や絵がリーフやリーフ生物をモチーフとして毎年製作されている。サンゴ礁をインスピレーションに用いて製作された本やフィルムや絵の金額的な価値はきわめて大きい。
c. 社会基盤としての機能
サンゴ礁はたくさんの地域的な集落の暮らしを支えている。例えば、フィリピンのリーフでの乱獲や汚染による損傷が少なくとも100,000人の漁業者の仕事を奪ったことからも推定できる。
d. 文化的機能
例えば、宗教的な式典が南ケニヤのサンゴ礁周辺で発達しており、精神を穏やかにさせる初期的な方法による伝統的な管理によって魚の量の調節をしている。類似した伝統的な管理システムが太平洋の諸島で数世紀前に発達しており、サンゴ礁の資源利用を調節している。したがって、熱帯の沿岸域に住む多くの地域的集落は、供に発展する過程を通っているように思われ、そこでは文化的な伝統が隣接するサンゴ礁とともに発達している。