3) サンゴ礁の資源と利用
(1) 再生可能な資源の利用
a. 漁業資源
リーフ関連の漁業は、世界の全漁獲の9-12%を構成し、インド-太平洋地域ではリーフ関連漁業が総漁獲量の25%に達する。しかし、サンゴ礁での全体的な魚の量に比べて多すぎる漁獲が主な問題となっている。
b. 新薬の原料としての資源
薬品産業では、抗がん剤、AIDS抑制剤、抗生物剤、抗炎症剤、抗凝固剤のような有用な物質がリーフの海藻や海綿、軟体動物、ソフトコーラルのようなサンゴ、やぎ類のサンゴ虫、イソギンチャクから発見されている。
c. 観賞用海水魚の資源
1985年の海水魚市場は年間で24-40千万(2.4-4億)ドル産業である。生きた魚を採取するために年間数百トンのシアン系毒素をサンゴ群集に放出してリーフにすむ魚を採取している。また、約250,OOOの生きたサンゴがアメリカ合衆国に輸入されている。
(2) 再生できない資源の利用
a. セメント原料
明らかに破壊的なサンゴ礁の利用は、建設材料や石灰やモルタルやセメントの原料としての硬いサンゴの搾取である。モルジブにおいてはサンゴの塊や割石や砂が主な建設物資として毎年およそ20,000m3が提供されている。石灰は農業においてpHの制御にも用いられており、ある地域ではサンゴの岩が採取され粉砕されて肥料として用いられている。
b. 鉱油
大昔からのリーフの生物生産物は鉱油やガスに変換されている。これらの資源は生きているリーフの下にも広い範囲にわたって存在していると考えられる。シベリアやサウジアラビアやUSAやカナダの大昔のリーフ形成物はポーラスな石灰岩のなかの油として豊富に蓄えられており、これらの利用とサンゴ礁の保全が懸念されている。