低潮線付近では、別の種である葉状体に鋸歯のあるFucus serratusが生育している。
低潮線で日光に厳しく晒されるところでは、植生に変化が生じる。従って、大潮の低潮線周辺では大きな櫂状の海藻(oarweeds)がみられ、幾つもの葉状部が広がったLaminaria digitataが生育している他には、転石帯ではL. digitataの周囲にはL. saccharinaがみられる。
低潮線以下の砂地や岩盤ではコンブ科のSaccorhiza polyschidesとAlaria esculentaが生育している。
褐藻類ではIrish Mossとして知られるChndrus crispusと良く似たGigartina stellataが低潮線付近に分布している。また、高潮線に向かっては、Porphyra umbilicalisが春と夏に良くみられる。
北大西洋における紅藻類ではRhodymenia palmataが知られており、この種は低潮線の岩場やLaminaria hyperborea上でしばしばみられる。
2] アメリカ
太平洋沿岸の大型褐藻類ケルプの仲間としては、Macrocystis pyrifera、M. integrifolia、Nereocystis luetkeana、Pelagophycus、Alaria fistulosaが分布している。
北アメリカ、カナダ、アラスカの太平洋沿岸の岩礁海岸では、豊富な海藻植生に覆われている。海岸線の上部ではコンブ科のFucus(ヒバマタ属)やEgregiaが分布しており、低潮線付近の海岸やタイドプールではE. menziensiiが生育している他、Thalassiophyllum、Cymathere、Costaria等のコンブ科の藻類も生育している。
紅藻類ではGelidniumであり、バハカリフォルニアで特に多く生育している。
3] ハワイ
濃密な紅藻や緑藻の生育は、サンゴ礁の中にあるプールで観察される他、ラグーンのなかにカーペット状に形成されている。
4] インドネシア
インドネシアの南にあるマライ諸島では、紅藻類のEucheuma、Gracilariaが採集されている。
5] ニュージーランド
ニュージーランドではジャイアントケルプのMacrocystis pyriferaが生育している。また、Ekloniaに属する褐藻も低潮線下に生育している。高潮線付近ではPorphyra columbina、低潮線付近では寒天原料のPterocladiaが生育している。Gigartina属の数種もカラゲナン原料として有望である。また、低潮線付近では褐藻類“bull kelp”と呼ばれるDurvilleaの藻場がみられる。