2) 岩礁性藻場構成種
(1) 分類
海藻類は藻類に属し、植物界でも最も原始的な仲間である。藻類は高木とは異なり、根、幹、葉を持たないが、コンブ科のように、根の代わりには付着器、幹の代わりに茎、平らに延ばされた葉のような葉状部を持つ。いくつかの種ではアオサ属のように単純な平たい組織で構成されているものや葉状体のもの、マクサ属のような偏平または中空の軸から枝上に同様な軸が立ち上がっているものもある。
1] 緑藻植物
a. 色素としては色素体中に葉緑素が多量に含まれ、その色彩は陸上高等植物のように草色を呈する。
b. 同化貯蔵物質も高等植物と同様に澱粉である。
c. 遊走細胞は1目を除いてすべての目で知られているが、通常は長さの等しい2本または4本の鞭毛を持つが、多数の鞭毛を持つものもある。
d. 接合子は一般に母体から離れて、独立の体に発育する。
2] 褐藻植物
a. 色素としては葉緑素の他に藻褐素を持ち、色観は褐色を呈する。
b. 同化貯蔵物質としては、ラミナランとマンニットである。
c. 遊走細胞は2本の鞭毛を持つ。
d. 接合子は母体から離れて独立の体に発達する。
3] 紅藻植物
a. 色素としては葉緑素の他に藻紅素を含んでいるので、色観は紅いものが多い。
b. 同化貯蔵物質としては、紅藻澱粉である。
c. 遊走細胞は持っていない。
d. 受精卵(紅藻の生卵器は一般に造果器といわれ、その中で卵は受精する)はすぐ母体から離れて独立の植物に発育することはなく、直接又は間接に果胞子を作り、これが母体から離れて発育する。
(2) 地理的分布(Chapman, 19..)
1] ヨーロッパ
ヨーロッパにおける鉛直分布構造をみると、最初に目に付くのは小型海藻のPelvetia canaliculataであり、この種は高潮線付近にみられる。このPelvetiaの下部には大型海藻のFucus spiralisまたはその近縁種のF. platycarpus(=F. spiralis var. platycarpus)が生育している。更にその下部の海岸線の中部では、2種類の異なった褐藻がみられる。ひとつはオークニー諸島では黄色い舌とよばれているAscophyllum nodosum、もうひとつは、Ascophyllumの上部または下部、もしくは混生して生育しているFucus vesiculosusである。