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c. 「目にみえる活動」の展開

・地域資源の発掘:りんごの菓子、いろりばた料理等が考えられており、今年は新たにワインの消費促進策の一つとして石釜を使ったパイを提案している。

・こだわりワイン:原材料の8割が地元産、残りの2割は近隣市町村産を使ったワイン生産(3000本/ロット)を実現し、仙台方面への販路を開拓中である。現在メンバーズクラブ(10年間で1万円の会費)として10,000人を募集している。

・サンに市の開催:2000年8月13日に始まったふれあい市場で、毎週日曜日に創遊館前で開催される。回を重ねるうちに出店するのが楽しみという人が増えて次第に前向きな取組みができるようになったが、地域住民の認知を得るまでにはかなりの時間を要するものと考えられる。

・寺子屋事業:第1回目の取組みは、八ッ沼地区において山形県および土地改良事業所との共催事業として2000年7月9日に「水とくらしの探検隊」を開催。西五百川小の4年生親子12組が「地域の再発見」をテーマに約5kmを歩いた。

・エコミュージアム紀行:朝日町のエコミュージアムについて地域の住民がガイドする本格的な体験ツアーとして、9月9〜10日、9月20〜21日の2回開催された。

・まちの案内人の会:「町民はみんなが学芸員(案内人)」という発想のもとに、有料でサテライト等のガイドを行う組織として発足した。現在の登録者数は24名で、実際の運営はエコミュージアム協会の事務局が兼ねている。案内人として登録するには、所定の講習会を修了し、入会金千円を納める。講習会では、エコミュージアムについて、会のシステム、エコルームの役割、現地案内人の実践報告等について学習し、現地での実習も行われる。

3] コメント

朝日町エコミュージアムは、わが国におけるエコミュージアムの草分けである。数々の成果をこの分野で挙げてきており、文字通り先進地である。報告のなかの「現状と課題」でも触れているが、町長の交代で「推進」とは異なった方針が提起されたときに、それを撤回させた経緯があるが、この運動が地についてきていることを示している。機会あるごとに町民に事業に参加してもらう姿勢がこのような状況を生みだしているのであろう。今回の調査で訪れた大谷小学校での経験もこの町の行政がいかに説明責任を弁えているか、地元の声を大事にするかを判らせてくれた。それは校舎が児童の身になって作られているところに如実に現れているのである。エコミュージアムの事業とは無関係ではあるまい。

エコミュージアム事業は、報告でも解説されているが、いわば町と民間で、協調しながら進められており、サポーターも拡大している学校との協力もすすめられ、子ども郷土教育の上でも評価すべき成果を積んできている。

短期間の調査でのコメントは、あるいは軽率の誹りを免れないが、あえて言えば、これからの課題、そして大変重い課題は、エコミュージアムを支える第2世代の育成であろう。また、エコミュージアムが必ずしもまちおこしと連結していることを実感していない町民も少なくないように見受けられた。町長の交代の折りの出来事もひとつの警告かもしれない。

 

 

 

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