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2] 課題

着物が生活の場から離れて「日本の伝統文化」となってきた以上、新素材としての新しい発想の展開が必要と思われる。

最近では、伝統工芸にあこがれる若者の問い合わせもふえており、指定された伝統工芸品としての自負は、現場ではまだ生きている。

村山大島紬は、10年ほど前から武蔵村山市の小学校の卒業証書カバーに指定され、また3年前からは武蔵村山市主催の成人式の記念品に指定されている。

(4)東京だるま

多摩地方から入間市にかけての地域で作られるだるまを東京だるまという。このあたりでは、明治の頃から作られるようになった。製造は家内製手工業であり、農閑期の仕事であるこの技術は、武蔵村山市の伊勢屋が狭山湖に沈んでしまった楽勝寺村から伝えたと言われている。

各家に伝わるだるまの木型は、狭山丘陵から産出するアカマツ材で作られており、冬の農閑期に製造しただるまを、正月から5月にかけて、あちこちの市や祭りに自ら店を出して販売する。

だるまは「あがる」に関係づけて養蚕の神様としても信仰されたが、民間信仰の衰退や生活様式の変化、人手不足によるコスト高などにより産業として維持することが困難な状況になりつつある。

 

 

 

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