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また、同じ武蔵村山市ではりんごを栽培する農家やキウイを栽培する農家もある。栗栽培は東京都側に限らず埼玉側でも多くめにつく。

こうした果実類の場合、観光もぎとり園の形をとり、収穫体験をさせている農家も多い。

i. 直売の展開(各市町)

各市町で、近年増えているのが、直売である。

なかでも、それぞれの農家が、庭先や畑の隅に無人の直売所を設けて、自家生産の野菜を販売する形式が多く目につく。売上は、年間100万以上あるという農家が多い。

都市化したり高齢化により、耕作面積も減少せざるを得ない農家にとっては、直売は適した農業形態といえる。そして、なによりも消費者の顔や声が見えることは農業者にとってはやりがいにつながる。

しかし、無人販売の弊害もなくはない。概ね1割は支払い箱にお金が入っていないとのことである。また、東村山市のある農家での話によると、減農薬で栽培してその手間がかかった分、通常生産した野菜より値段を高くつけたが、高くても健康に優しい減農薬野菜は売れ残ったとのことで、さらに消費者との間の理解を高めていく必要がある。

また、近年では直売所の設置部分が、農地の場合には施設の設置とみなされ、固定資産税などの税金が負荷されるといったケースもあり、行政的な改善が求められる部分もある。

こうした無人販売で農家の畑先や庭先での販売のほか、近年では行政や農協が共同の直売所を設置するケースも増えている。

j. 市民・消費者との交流事業の展開(各市町)

市民や消費者に農業を理解してもらうための取組みも、近年多くなりつつある。

循環型の農業を理解しようと、農家が行う雑木林の落ち葉はきをお手伝いする『体験落ち葉掃き』は埼玉県の三芳町で開始された事業であるが、所沢市にも波及し広がりつつある。三芳町の場合、受け入れた農業者数軒が『落ち葉野菜研究グループ』を結成し、さらに野菜つくりや生産された野菜を参加者に収穫してもらうなど、年間を通した活動を展開している。市民参加の落ち葉掃き体験は東大和市でも展開されている。

東大和市では、体験農業という程度のかかわりではなくボランティア援農制度を実施していて、労働力不足の農業者と農業体験をしたいという非農業者との橋渡しになっている。ある一定の机上や実践を通した学習を終了したものをボランティアとして派遣するといった方法である。このシステムは定着の方向にあるという。これに似た方法は現在埼玉県側の農協でも検討していると聞く。

 

 

 

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