東大和市では14〜5名の若いメンバーが自然農法研究会を組織し、都の有機農産物認証野菜に取組んでいる。それぞれでも生産をしているが、共同で有機実験農場を設け、また市が東京都の補助を受けて設置した堆肥センターで、学校給食ででた残飯を一次発酵させたものを堆肥化する共同作業も行っている。生産された農産物は認証シールを貼り、市で設置した共同直売所の一隅に自然野菜コーナーを設け販売している。
武蔵村山市では4名の農業者がパイプハウスを利用した認証野菜づくりに取組み始めている。品目は現段階では小松菜だけである。
しかし、認証のラベルが貼られていようがいまいが、市場での値段は同じであり、市場出荷では認証野菜はメリットが少ないという。
東京都有機農産物認証野菜の制度は平成8年から取組まれているものであるが、平成11年に有機野菜についてJAS規格が制定されたものの、東京都の認証内容ではJAS規格に適合しないことや有機野菜・減農薬野菜・減化学肥料野菜の生産は手間がかかるという問題がある。また、従前の野菜とこれらの野菜を置いた場合、消費者の多くは安価な野菜を買い、有機などの野菜は高いと買わない。こうした消費者の理解のなさもあるとのことであった。
g. 有機100倍運動と実践
埼玉県で実施する事業で、環境に負担の少ない農業を21世紀に向けて実施していこうとする事業である。これまで所沢市や狭山市・三芳町などで、助成金を受けて実施している。農薬の減量化を研究する研究会の組織化や、その雑木林の落ち葉を堆肥として活用した農業の実践や堆肥盤増設、発酵菌を利用した家庭ごみの発酵、農薬を減量させるためのフェロモントラップの導入、消費者の農業への理解を促進するための市民参加型事業など、さまざまな取組みについて行政が支援・展開している。
h. 果実生産と販売(東村山市・武蔵村山市・東大和市)
戦後、果樹栽培のさきがけになったのが梨である。東村山市・東大和市・武蔵村山市など、狭山丘陵南麓のかつて水田が形成されていた地域を中心に多く栽培が見られる。梨は始めは二十世紀や長十郎などの種類であったが、現在は幸水や豊水という新品種にかわっている。現在では多摩湖梨というブランド化が成功して、梨栽培農家では、秋の収穫期になると庭先で販売をするが、すぐに完売するほどの人気果樹となっている。
ミカンの栽培も近年では増加している。やはり南麓の北風を遮る斜面や平地が利用される。このきっかけは、昭和30年代のはじめに武蔵村山市のある農業者が神奈川県の農業者と交流し苗木を分けてもらったのが始まりであるが、現在農協にもみかん生産部会が組織されるなど拡大の方向にある。