瑞穂町は平成11年4月1日現在で、人口32,808人(世帯数11,400軒)である。町面積1,683haのうち、基地部分が532ha、市街化地域は747ha、市街化調整地域は936ha(町面積の約55%)である。市街化地域は、主に基地と狭山丘陵に挟まれた青梅街道に沿った旧市街地と国道16号の交差地域を中心に広がる。市街地のやや西に外れて八高線箱根ヶ崎駅がある。市街化調整区域は町の東北部を占める狭山丘陵全域と、横田基地の東側に市街地と基地を緩衝するように存在するのと、町のほぼ中央を南東から北西に貫く青梅街道の北側に広がる。町のほぼ北東部に位置する狭山丘陵はその市街地と接する付近には東京都立瑞穂農芸高校や図書館・資料館・体育館などの公共施設が設置されているものの「都立狭山丘陵自然公園」、「野山北・六道山公園」などとして自然環境の保全が図られている。市街化調整区域のうち16号より北半の地域は、施設園芸や茶畑や葉菜類や根菜類などが生産される農地が広がる農業振興地域となっているが、市街化調整区域内にも都市計画法から適用を除外できる大型の倉庫や自動車整備工場などが、16号や青梅・新青梅街道などを活用できる利点から進出しつつあり、健全な農業や農的景観の維持にはマイナス面も生じつつある。
瑞穂町の農地は昭和45年に53,270a(約533ha)あったが、平成7年には29,609a(約296ha)と45%も減少している。
b. 埼玉県側の農業環境の現況
丘陵北麓側すなわち埼玉県側を見ると、埼玉県西部域における最大の都市である所沢市からの市街地がアメーバーの如く広がり、都市化が丘陵の北麓付近にまで広がる。しかし、市域の西部域の三ケ島地区や北野地区、さらにはその西に位置する入間市宮寺地区付近には、県道や国道16号に沿って開発は進行しているものの、農地は比較的広く存在する。丘陵のほぼ中央部には、東京都民の水瓶として多摩湖(村山貯水池)・狭山湖(山口貯水池)が存在し、その堤防の付近まで市街化されるが、辛うじて住宅の狭間に水田を見ることができる。
埼玉県側では、現在所沢市と入間市が狭山丘陵に接している。2つの市は合併により拡大した自治体であるため、表出できるものとして狭山丘陵に接した合併以前の行政単位で数値を見てみたい。ちなみに、合併以前の行政は、所沢市分が旧三ヶ島村、入間市分は旧宮寺村である。
・所沢市の農業環境の現況
所沢市は、昭和25年11月3日に市制を施行したが、この段階では柳瀬村と三ヶ島村は合併しておらず、市域は5,118haに過ぎないが、人口はすでに52,188人を数えた。昭和30年に柳瀬村と三ヶ島村が合併して市域は現在の7,199haとなり、人口は56,249人となった。その後昭和42年には人口10万人を超え、昭和51年には20万人を突破、平成2年の市制施行40年で30万都市となり、平成11年末で328,418人(世帯数124,644戸)である。埼玉県県南西部地域最大の都市となっている。