東村山市では市域の約98%が市街化区域の指定を受けている市街化調整区域は約2%に満たない21haで、調整区域は多摩湖の堰堤下の貯水池管理地部分にのみあり、すべて「狭山近郊緑地」に指定されている。従って、東村山市にある農地は、すべて市街化区域内に存在することになる。市街化区域の農地は表II-2-3によれば、平成10年段階で19,088a(約190ha)である。農地は昭和45年段階では42,140a(421ha)あったが、四半世紀で6割が減少した。
農業者世帯も昭和45年には615戸あったが平成10年にはその3分の2の401戸(農業者人口1,730人)と市内全世帯数の1%に満たない。農家1戸あたりの耕作面積は平均47.6aで、農業としてみれば零細化しているといえよう。もっとも、農家戸数401戸のうち、専業農家は11戸に過ぎず、兼業農家が390戸で農業を主とする兼業農家は51戸である。専業農家11戸と農業を主とする兼業農家を加算しても62戸に過ぎない。専業農家からの聞き取りによれば、専業または農業を主とする兼業農家の場合は100から200a(1から2ha)の農地は持っているとのことであった。となると兼業を主とした農家はさらに零細な面積を耕していることになる。東村山市域の農家からの聞き取りによれば、耕作面積が20aとか30aといった農業者に会うこともしばしばであった。
ちなみにこの農地約190haの内、約6割のみが生産緑地の指定を受けているに過ぎず、他は、農家のさまざまな事情で宅地化が進行する可能性を秘めている。表として示さなかったが、過去5年間の農地の転用受理面積(件数)は次の通りである。平成7年584.95a(133件)、平成8年764.87a(130件)、平成9年47.791a(103件)、平成10年391.95a(87件)、平成11年458.51a(103件)である。農地は過去5年間で2678.19a(約27ha)が減少したことになる。ちなみに公立小学校の敷地面積は平均1haであるから、過去5年間に東村山市では小学校27校分の農地を減少させているわけである。
・東大和市の農業環境の現況
東大和市の前進である大和町は昭和29年に町制施行(人口13,052人・面積1,354ha)し、昭和45年10月に人口45,510人をもって東大和市として市制を施行した。都心から35kmという近距離にあることから、その後も人口は増加し、現在平成10年10月現在で76,596人となっている。現在、市の南端に位置する西武線東大和駅を交差し上北台駅(市域のほぼ中央西端)まで多摩都市モノレールが敷設されるに及び、丘陵の南側に広がる平坦な武蔵野台地部のほぼ全域に置いて、再整備や区画整理が実施されていることから、今後人口はますます増加の傾向をたどると判断される。東大和市においては、市街化調整区域が365ha、市街化区域が989haで、市域の約73%が市街化区域になっている。東村山市に比して市街化調整区域の率は高いが、調整区域に指定された全範囲は、地域の北端部の狭山丘陵部、殊に貯水池管理地になる。「狭山近郊緑地」にあたる。多摩湖湖面面積もこの緑地、すなわち市街化調整地域部に含まれる従って、市街化調整区域といっても農地として活用できる部分は全くない。