また、狭山丘陵および武蔵野台地には火山噴出物が堆積している。これらの火山噴出物は、南関東においては主に古富士火山、箱根火山、八ヶ岳噴出のものが主体であり、この火山噴出物が風化した地層が関東ローム層(多摩ローム層、下末吉ローム層、武蔵野ローム層、立川ローム層)である。狭山丘陵で顕著である多摩ローム層は、約27万年前から13万年前に形成されたと考えられる、褐色ないし灰褐色の粘土質の火山灰からなる風成層である。層厚は約40mに達し、下部約25mは石英安山岩質軽石層、上部約15mは安山岩質軽石層によって特徴づけられる。こうした地形と河川を舞台とした原始・古代の人々の生活の痕跡が、遺跡として丘陵の地下に眠っている。
(2)狭山丘陵の遺跡分布(資料編:表(資)-I-4)
・旧石器時代
旧石器時代は列島に人類が登場してから縄文時代が始まる約1万年前までの時代。石器を主な道具として使用し、狩猟・採集生活を主な生業としたキャンプのような移動(遊動)生活をおくっていた。旧石器時代は、猿人、原人の時代の前期(下部)、旧人の時代の中期(中部)、新人の時代の後期(上部)旧石器時代の3期に区分される。
図I-3-3は、狭山丘陵および周辺の旧石器時代に属する遺跡の分布である。狭山丘陵から発見されている旧石器時代の遺跡は今のところ、約3万年前以降の後期旧石器時代に属する遺跡である。
分布の傾向としては狭山丘陵の北側の丘陵部および丘陵にほど近い台地部に、各河川を単位として遺跡が分布している。また、丘陵南側の空堀川流域にも遺跡がややまとまって分布している。遺跡の立地として、丘陵から湧き出る流れによって、狭山丘陵内に数多く形成された舌状部単位で遺跡が存在しているという特徴が見られる。