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これらの他にも『廻国雑記』、『新編武蔵風土記稿』、『武蔵野歴史地理』などの多くの地誌にこの狭山丘陵周辺の地域が記述されたり、描かれたりしている。また、天明3年に上梓された『むさしの三歌仙』にも、江戸の俳人であった雪中庵三世蓼太が武蔵野の名所である堀兼井や逃水を訪ねて門人と呼んだ歌仙が中心となっている。ここでも八国山や将軍塚などを歌に折り込まれ、狭山丘陵の風光明媚なようすをうたっている。これは、当時人々の興味の表れであり、その中の記述に出てくる多くの文化財が今でもこの狭山丘陵とその周辺に残っている。

余談だが、小学校での「多摩湖の遠足」は、狭山丘陵周辺の地域だけでなくもう少し広い範囲でも実施されていたようだ。大正年間に多摩湖(村山貯水池)が出来て以来、狭山丘陵はより多くの観光客が訪れる場所となり、「村山ホテル」なども営業されていた。その中でも「多摩湖の遠足」は、時代を越えて存在しているようだ。上記では近世の狭山丘陵の景観を中心にここへ訪れる人々の関係を記したが、この近代・現代になってからの「行楽地の多摩湖」や「多摩湖の遠足」も興味深い。今後機会があれば調べてみたいテーマである。

 

 

 

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