(ii) ワードレオナード方式
図6.6-3a.、b.に主回路図を示す。
1つの制御対象ごとに専用の他励直流発電機が設けられる。
直流発電機の界磁回路には逆並列(又は十字結線)、界磁切換のサイリスタが設けられ、電機子電圧は界磁電流で制御し、正逆転ともに広範囲に速度を制御する方式である。ワードレオナード方式の速度-トルク特性は図6.6-2に示すものと同じである。
界磁電流の制御は交流母線を電源として、サイリスタで正逆転の制御することが一般化している。
この方式の特徴は次のとおりである。
1] 可逆運転を含む広範囲な速度制御ができる。
2] 専用発電機を必要とするので、比較的高価である。
3] 発電機、電動機とも短時間の過負荷を許容するので、瞬時過負荷トルクを生じる用途に適している。
4] ブラシ、整流子等の保守が必要である。
以上述べたとおり、直流機の製作限界と保守面を除くと広範囲な用途に適用できる。特に界磁弱め制御による定出力特性を生かせる巻上、スイングウィンチ、Xマスツリーウィンチ等、また、瞬時過トルクを生じるグラブの支持-開閉等が最適といえる。