日本財団 図書館


作業上必要とするアウトリーチの大きさは、揚程とともに吊り上げられる荷重の種類や作業内容によって異なってくる。またアウトリーチを大きくすると船体の形状も大となり建造費もかさむから、それらを十分考慮して決定しなければならない。

現有起重機船の定格巻上荷重に対するアウトリーチの大きさとの関係を図3.3-1に示す。非旋回式は各主巻上荷重に対してアウトリーチのデータは1個であるが、旋回式については巻上荷重400t以下についてはデータ数が多く、アウトリーチの数値も大いに散らばっているので、ここではサンプル値としている。各主巻上荷重に対するアウトリーチの関係は傾向がないと考えられる。

 

055-1.gif

図3.3-1 巻上荷重とアウトリーチ

 

3.4 揚程

(1) 揚程は、定格荷重を吊った状態で表示し、定格荷重の10%荷重を吊った状態を(  )書きで付記する。

(2) 揚程は、定格荷重吊り上げ用ブームを使用した場合の最大荷重吊り上時の水面からフック中心までの垂直距離をいう。

(3) 定格荷重の10%を吊った状態の揚程は、標準ブームを使用した場合の定格荷重の10%荷重吊り上げ時の水面からフック中心までの垂直距離をいう。

(4) 揚程の巻上荷重に対する関係は図3.4-1を参照する。

 

〔解説〕

起重機船においては、揚程はアウトリーチとともに船体傾斜のため、荷重吊り上げ時と非吊り上げ時とでは異なり、またバラストや載荷の状態によっても相違するが、揚程はアウトリーチの大きさとともに吊り上げ得る荷重の大きさや、作業範囲を決定する重要な値である。

作業上必要とする揚程は、アウトリーチの大きさとともに吊り上げられる荷重の種類や作業内容によって相違し、また揚程を大にすると船体の重心位置も高くなり船体の大きさに影響してくる。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION