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この様な目標により、世界最高レベルの性能と高い信頼性・耐久性を兼ね備え、また従来の同シリンダ径機関に比べ40%の出力向上によりコンパクトな高出力機関として、まさに次世代型と呼べる新中速機関が完成しました。主な中速機関の出力範囲を図-1に示します。

 

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図-1 ニイガタ中速機関の出力範囲

 

3 主要部の特長

大幅な出力向上を達成するため、主要部品について下記の特徴を持たせました。

(1) クランク軸・主軸受

・クランク軸は特殊鍛鋼製で、高出力化に伴う高い燃焼圧力に耐えられるよう、ピン・ジャーナル部共に充分な軸径を有し、大型のバランスウェイトにより高いバランス率を確保し、振動の低減を図っています。

・クランクピン・主軸受には高周波焼入れを施し、耐摩耗性・信頼性の向上を図っています。

・主軸受キャップは、2本の取付ボルトと2本の側面ボルトによってシリンダブロックに固定されていますので、主軸受周りは高い剛性を有しています。

・最適な軸受幅の設定により、従来機関に比べ大幅に油膜厚さが増大し、軸受の耐久性向上を図っています。

(2) シリンダブロック

・シリンダブロックは、シリンダとクランクケースを一体化したハンガタイプのダクタイル鋳鉄製で、効果的な箱型構造と適切なリブの配置により、軽量ながら充分な強度を有しています。

・シリンダを挟んで給気マニホルドとカム室を配置し、シリンダをニ重壁構造とすることによって、機関全体の剛性が高まり、振動低減と給気騒音の低減を図っています。また、給気マニホルドをシリンダブロックに内蔵することによって、外部に張り出す給気管がなくなり、機関全体がコンパクトにまとまっています。

(3) シリンダライナ(写真-1・写真-2)

・ライナはライナ用耐摩耗特殊鋳鉄を使用して、内面には特殊ホーニングを施し、高い燃焼圧力に耐えられるよう、燃焼室廻りは厚肉としています。

 

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写真-1

 

 

 

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