ボールおよびローラベアリングは給油量が少量ですむので回転板式の潤滑油ポンプで十分であり、構造が簡単となる。平面軸受けはスラスト軸受が別に必要である。給油は過給機軸端より駆動する潤滑油ポンプを使用するか、あるいは機関より直接給油する。大型の軸流式タービン過給機では平面軸受を用いるものが多い。
(d) 回転軸
回転部分は高回転に備え十分動的バランスを取ってある。軸受部へのガスの流入および潤滑油の流出を防止するため軸上に油切リングおよび気密用ラビリンスを置き、ラビリンス中央部へ送風機より高圧空気を導く構造が多い。
また排気ガスによる軸の過熱を防止するため軸外周に冷却筒を設け、これと軸との間に冷却用空気を流す構造が普通用いられる。輻流形の場合は軸を潤滑油で冷却する事が多い。
(e) ケーシング
軸流式タービン過給機は鋳鉄製水冷の排気出入口ケース、および耐蝕性軽合金製の送風機出入口ケースとよりなり、各ケースは軸回転方向に30度または60度毎に異なったいずれの位置でも組立られる構造となっているものが多い。輻流式タービン過給機または、小形過給機ではタービンケースを空冷する事が多い。
(f) 空気入口部
吸気入口ケースを用い室外より吸気入口管をへて吸気することもあるが、普通入口部にはフィルタサイレンサを取付け、機関室内より吸気する。布と金網を重ねた濾網製のフェルト形耐蝕金属の金網を重ねた金網形と、径および長さが10mm程度の金属またはプラスチック製円筒を数多く詰め合せた金環形フィルタとがある。洋上の大気はホコリが少ないので、舶用には金環形または金網形を用いることが多い。最近では、これら過給機本体取付のフィルタの外側に、ポリエテスル樹脂等の通気性のある多孔質でできた薄板状のフィルタを取付け吸入空気を二重に濾過することもある。この外側フィルタは装着取外し、洗浄が容易であるため運転中にも簡単に洗浄できる。
またコンプレッサの洗浄装置を空気入口部に設けたものもある。本装置は機関運転中に洗浄液をコンプレッサに注入し、インペラおよびディフューザを簡単に洗浄することができる。タービンにもこれと同様の洗浄装置を設けているものもある。
2] 輻流式タービン過給機(ラジアルタービン)
輻流式タービン過給機はタービン扇車内をガスが半径方向に流れる形式であり、中高速機関用として多く用いられている。輻流式タービン過給機はガス流量が少なく、ガス圧力の高い場合は、理論的にも軸流式タービン過給機よりすぐれており、小形になるため中小形高速過給機関に適しており、最近では漸次従来の軸流式タービン過給機に代わって進出する傾向にある。