(3) 潤滑油冷却器
潤滑油は運転中機関各部で発生する熱を奪い取りながら循環するため温度が上昇する。潤滑油の温度が高温になると冷却効果が低下するのみでなく、潤滑油自身が酸化され、油膜生成が困難となる。従って潤滑油の温度が必要以上に高くならないように冷却して、酸化を防止し、潤滑油による冷却効果を高め、十分な油膜を確保するために潤滑油冷却器が設けられている。
潤滑油冷却器は一部の小形機関を除き殆どの機関に採用され、油圧減速逆転機には別に設けたものが多い。
潤滑油冷却器には、水冷式と空冷式のものがあるが、舶用機関には主として水冷式のものが使われている。水冷式潤滑油冷却器には多板式と多管式があり、小形には多板式が、又中、大型には多管式が多く用いられる。又冷却水としては間接冷却機関では清水を用い、直接冷却機関では海水を用いることが多い。
1] 多管式潤滑油冷却器
2・94図(A)は、多管式潤滑油冷却器の構造図である。冷却水は管の内部を流れ、高温となった潤滑油は邪魔板に沿って管の外周部を矢印のように流れ、その間に冷却水が潤滑油の熱を奪い取って冷却する。海水冷却の場合は海水温度が低すぎて、潤滑油の温度が適温まで上がらず、低すぎる場合には、潤滑油温度が下がり過ぎないよう自動温度調節弁を設けたり、或いはバイパス回路を設け温度を適温に保つようバイパス弁で冷却水量を調節している。