8) クランク軸
クランク軸はピストンの往復運動を回転運動に変えると共に機関出力の取り出し軸でもある。クランク軸は連接棒大端部と連結するピン部、軸を支えるジャーナル部及びこれらを結ぶアーム部から成り立っている。
クランク軸は機関の最重要部品であり、衝撃的に作用する曲げやねじりに対し、十分な強度を有する炭素鋼やニッケルクロームモリブデン鋼等が用いられ鍛造によって造られている。
ジャーナル部やピン部には高周波焼入れを施し耐摩耗性を向上させている。又ピン部への給油のためジャーナル部からピン部へ油穴があけられている。軸端には動力取り出し接手やフライホイールを取り付けるための加工が施されている。
クランクアームには通常ピン部と反対側にバランスウエイトを取り付けて振動の軽減と円滑な回転をするようにしている。
バランスウエイトは殆どが鋳鉄で造られ遠心力で飛ばないよう丈夫なボルトで締め付けられているが、小形高速機関には、クランク軸と一体で鍛造されたものもある。
(クランク軸の焼き付きについて)
クランク軸が焼き付いた場合はカラーチェックを行い焼割れを調査すると共に、硬さも調査する。ヘアクラック程度でアンダサイズメタルが使用出来る径まで研磨してクラックが完全に除去できれば使用可能であるがその場合も必ず硬さを再チェックすること。なお、焼き付いた場合は相手側のメタルハウジングが変形していることが多いので必ず調査し異常があればメーカに相談し修正又は交換する。