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ケルメットメタルは2・64図に示すように軟鋼製の裏金にケルメット(銅鉛合金)を鋳込み表面に初期なじみと異物の埋没性を良くするために柔らかい鉛錫合金(ホワイトメタル)又は、鉛インジューム合金を0.02〜0.03mmの厚さでオーバレイを施し薄肉三層メタルとしている。

なお、最近は、耐食性、耐疲労強度がケルメットメタルより優れたアルミニウムを主成分としたアルミの3層メタルが使用されるようになってきている。

これらの薄肉三層メタルは完成メタルと呼ばれ、必ず一定の締め代と張り代をもっており、取り出した状態では、軸受孔より直径がやや大きく軸受孔に挿入すると、合わせ面がわずかに飛び出している。この飛び出し量をクラッシュ量といい、主軸受キャップを規定のトルクで締め付けるとクラッシュに相当する量が圧縮されて、軸受内面に密着し規定の寸法(真円)になる。したがってメタルの内径計測は規定のトルクで締め付けた後行わねばならない。

 

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2・64図 ケルメットメタルの構成

 

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2・65図 完成メタルの形状

 

7) 連接棒ボルト(ロッドボルト)

連接棒大端部にクランクピンメタルを介してクランク軸のピン部を連結する重要なボルトである。連接棒ボルトにはピストン及び連接棒等の往復運動部分の慣性力による衝撃的な引っ張り応力とともに曲げの力も受けるため、ニッケルクローム鋼、クロームモリブデン鋼など強靱な高張力鋼が使用されている。

ボルトの形状は、2・66図に示すように、ねじ部やボルト頭部の付け根に集中する応力を分散させるため、外径をねじ底部径と同じ太さまで小さくすると共に、キャップ合わせ部分はリーマ合わせとし、曲げに強く、ずれない形状にしている。

 

 

 

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