9) 羽根傾斜(レーキ)
漁船、貨物船等のプロペラ羽根は3・42図(ロ)に示す如く、船尾の方向に5°〜12°位の傾斜をしているのが普通である。また高速艇などでは3・42図(イ)の如く傾斜のないものや3・42図(ハ)の如く船首の方向に傾斜しているものがある。この羽根先端の傾きの量を羽根傾斜またはレーキという。3・42図(ロ)はプロペラの羽根先端と船体の間隔を大きくするには良い方法であり、(ハ)は高速艇などにおいて遠心力を利用して、少しでも羽根根元の応力を減じて羽根の厚さを薄くするための工夫である。即ち、羽根が回転すると遠心力によって、羽根を軸心に対して垂直にしようとする力(レーキをなくそうとする曲げモーメント)がはたらく、このために羽根の根元に生ずる曲げモーメントは、羽根が推力を出すために羽根の根元に生ずる曲げモーメントと反対の方向に作用するから、結局羽根根元にはたらく曲げモーメントはレーキによる曲げモーメントだけ減少することになる。
10) 回転方向
プロペラの回転方向は、3・43図に示すごとくすべて船尾側から船首側に向って見た方向をいう。プロペラが船を前進させる場合、即ち前進回転のときに、時計の針のまわる方向に回るものを右回りといい、その反対を左回りという。この回転方向は非常に簡単なことでありながら、実際にはよく間違いをおこすから、十分注意する必要がある。