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この現象を防止するため3・34図に示すようなスリップリングとブラシを持った軸アース装置(軸短絡装置)を設けることによって、プロペラ軸と船体を常に電気的に短絡させることができる。従ってプロペラ軸と船体間の電気抵抗は低減され、防蝕電流はアース装置を通って流れるのでグランドパッキンまたは端面シール部からの流電は防止される。

軸系アース装置は軸上に巻きつけたスリップリングとブラシの摺動抵抗を極力小さくするよう維持管理しなければ効果的でない。ブラシとしてカーボンブラシあるいは銅、錫、銀、黒鉛の焼結合金製ブラシなどを使用し、スリップリングに摺動させアースする。スリップリングは接合部のくい違いを極力なくし、油気を取り、常に清浄にたもたなければならない。アース装置は発錆あるいは海水の付着などにより、導通が阻害されないよう常時メンテナンスに留意しなければならない。摺動接触させる個所は、プロペラ軸スリーブ表面でなくとも、プロペラ軸に電気的に接続されている個所であれば軸継手外周、中間軸などいずれでもよいが点検容易な場所を選ぶべきである。

 

210-1.gif

3・33図 防食電流回路

 

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3・34図 軸系アース装置の一例

 

 

 

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