2] パッキンはパッキン箱の寸法に合ったものを使用すべきであるが、太さの調整が必要な場合、ハンマ等で叩かず、バイペでロールする。
3] パッキン挿入時には、切口を120度ずつずらして合せ面を突き合せて外周に張らすようにして一番奥から1本ずつ木片を当てて、軸になじませながら圧縮していく。
4] 進水時にはグランドを取付け、ナットを掛けて指で一杯に締めた後、片締めにならないようにスパナでパッキン箱深さの5%を目安に追締めする。
5] 進水後漏れの状態を見て徐々に増締めする。
6] 航行中は少しずつ締付け、一度増締めすると15〜30分ぐらいは様子を見る。
漏洩量は軸径にもよるがパッキン摺動部の潤滑、冷却の点から5〜10l/hを目安に調整するとよい。
(2) 端面シール方式
端面シール装置は3・29図に示すようにゴムの弾性を利用した簡単な構造で、密封摺動材には特殊合成ゴムを使用しているため、シール性が良く、寿命が長くしかもプロペラ軸の複雑な振動にも十分対応できるものである。端面シール装置の構造は固定部分と回転部分に大別され、固定部分はケーシング、特殊合成ゴムのシールリングと摺動するメイティングリング(固定摺動リング)、緊急用シールから成っており、また回転部分は、プロペラ軸スリーブ上にシールリングがガータスプリングまたはバンドによって取付けられ、プロペラ軸と共に回転する。
シールリングのリップはメイティングリングへ一定の接触圧で押しつけられており、この接触部が回転側と固定側の摺動面で、海水をシールする重要な部分である。
緊急シールは端面シール装置の使用中、シールリングとメイティングリングとのシール性能が悪くなり、漏水が多くなった時バルブユニットのバルブを開いて、圧縮空気を緊急シールに供給すると、緊急シールが内径側に収縮し、プロペラ軸スリーブを締めつけ、密着し、シールを行うもので、シールリングなどの交換時に使用する。