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なおパッキン押えを締め付けるボルトのうち2本を長く作ってガイドとし、パッキン押えを取り外すことなく、パッキンの取替えや、増入れができるようにすると便利である

パッキン部は強い船尾振動を受けるので、パッキンは相当苛酷な使用条件に耐えなければならない。またパッキンの軸との共回りは海水漏洩に対して致命的であるので、パッキンの寸法は慎重に決める必要がある。このためにパッキンをやや長い目(パッキン厚さの1/2程度)に切って、正しく切口を合わせ、1本ずつ確実に奥まで押し込み、パッキンの密度の均一化をはかる。そしてパッキンの外周側の摩擦を大きくすることおよびパッキン箱の奥の端面部の摩擦を増すための考慮も必要である。パッキン全数を詰め込んだ後、パッキングランド押えを取り付けて強く押し、締め付けボルトにナットをかけて、手でいっぱいに締める。この点を基準点とすれば、ここから〔(そのパッキンの呼び寸法)×(本数)〕の5%程度締め込んだ状態で運転を始め、適当な海水の漏洩量になるようにパッキングランドを増締める。パッキングランドの温度は海水温度プラス30℃までが適当と考えられるので、パッキンの締め過ぎには注意を要する。またパッキンの締め過ぎによるプロペラ軸スリーブの異常摩耗は避けがたい。

 

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3・27図 グランドパッキン方式の構造

 

グランドパッキンに関して特に注意しなければならないのは、海水漏洩量の増大、プロペラ軸スリーブの摩耗、パッキンと軸との共回りなどである。

グランドパッキンを締めた場合のパッキンと軸との接触面圧は3・27図のようにグランド側から奥に行くに従って順次面圧が低くなり、シール作用で重要な奥の方のパッキンの面圧が不足する傾向にある。これにより漏洩量の増大やパッキン共廻りが生じやすい。このためグランドパッキンの締付けが過大になりがちでグランド近くの面圧が高くなり軸摩耗を生じやすい。従ってパッキン取付時には手前から奥まで面圧がなるべく一様になるように努める必要がある。

次にパッキン取付時より運転時までの要点を順を追って述べる。

1] パッキンの切断は軸外周に巻付けて、パッキン厚さの1/2程度長目に切る(3・28図参照)。そしてばらばらにならないように糸でしばる。

 

 

 

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