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2) 船尾管軸受

船尾管軸受とは、船尾管内にあってプロペラ軸または、船尾軸管を支える軸受を言う。船尾管軸受は潤滑方式による海水潤滑軸受と油潤滑軸受に大別される。

(1) 海水潤滑軸受

海水潤滑軸受とは、海水(淡水)によって、潤滑を行う船尾管軸受で、軸受支面材(軸受材)として、リグナムバイタ、合成ゴム、合成樹脂などが使用される。

1] リグナムバイタ軸受

リグナムバイタは熱帯地方に成育する自然木で自己潤滑性に優れた軸受材である。リグナムバイタは海水に浸漬すると膨脹するので、装てん時、長手方向(軸方向)の伸びしろを軸受全長の1%程度見込む必要がある。3・24図に示すように、リグナムバイタ片の円周方向の分割数は1片の幅の寸法を考慮して半円周で奇数とし、垂直直下で合わせ目にならないようにする。また上半分の軸受面は板目、下半分は変形がきわめてすくない木口面とするようにリグナムバイタ片を使用する。軸受の長手方向は千鳥形状になるように配列するのが望ましい。軸受面に設ける長手方向の海水冷却みぞの断面形状は、摩耗により通過面積の急激な減少をさけるためUV形状を採用する。

 

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3・24図 リグナムバイタの取付要領

 

軸受摺動面への異物浸入を防止するには、艤装時に船尾管用の管系なとは酸洗いを行なって、管内の付着部を完全に除去する。ゆえに、汚物などが浮遊している港湾、河川などを航行する船舶にあっては、リグナムバイタの摩耗がいちじるしく促進されるので、こし器を通した清浄な海水の強制供給が必要である。また、船尾管内への送水確認のため海水冷却管系にサイトグラスあるいは圧力計・流量計等の設置が望ましい。一般に供給冷却水量の目安としてつぎの式による。

給水量Q=(5〜5.5)×D2×10-3m3/h

 

 

 

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