2] ゴム軸受
ゴム軸受の構造はリグナムバイタ軸受と構造的に同じであるが、リグナムバイタの代わりに特殊合成ゴムを用いたもので、近年海水潤滑軸受材として普及してきた。
ゴム軸受は青銅製ブッシュあるいは軽量、耐蝕およびゴムとの接着性がよいことから、硬化プラスチックのブッシュに特殊な接着剤を使用して、ゴムを強固に加硫接着したものを船尾管本体に圧入する。ゴム軸受に使用される合成ゴムの種類として、耐摩耗性、耐水性、耐油性などを考慮した、NBR(アクリル系)、CR(クロロプレン系)などがある。
ゴム軸受の構造には、フルモールドタイプとセグメンタルタイプの2種類がある。3・25図に示すようにフルモールドタイプは軸方向に平行に設けた数本の海水冷却みぞを有する一体型ゴムをブッシュ(外筒)の内面に加硫接着させたもので、一般に広く採用されている。このフルモールドタイプのブッシュにはフランジ付きとフランジなしの2種類がある。セグメンタルタイプはブッシュの内面に長手方向に平行に設けたみぞに金属板とゴムを加硫接着させたストリップをはめこんだ形状のもので、隣り合うストリップ間のみぞに海水が供給される。この構造のものは、軸径の大きいものに適し、修理の際は消耗したストリップのみを換装すればよい利点がある。
ゴム軸受の特長は軸の周速の高い場合、摩擦係数が小さいため、動力損失が少なく、ゴム自体が耐摩耗性にすぐれている。また船体変形による軸受の片当りを緩和できる。しかし軸受部の温度上昇は致命的な軸受損傷につながるので、冷却水の注水には十分留意しなければならない。ゴム軸受は水のないところでは、摩擦係数が極端に大きくなり発熱して焼付け現象を起すので、必ず給水を行ってから軸を回転させる心がけが必要である。
ゴム軸受には十分なる潤滑冷却水量の供給が必要である。一般に供給冷却水量の目安としてつぎの式による。