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(8) プロペラ軸のプロペラ取付部の構造

3・16図に示すようにプロペラ軸スリーブ後端部とプロペラボス船首側の空所にゴムパッキン(Oリング)を装着し、プロペラの押込みによってOリングを締め付け、プロペラ軸テーパ部およびスリーブ内側への海水の浸入を防止する構造のものである。この構造は、プロペラの押込量によってはOリングの締め付けが不十分になり、プロペラ軸テーパ部などに海水の浸入の恐れがある。万一プロペラ軸テーパ部およびスリーブ内側に海水が浸入すると、プロペラ軸には、トルクおよび曲げモーメントが作用しているので、プロペラ軸表面の円周上にクロスマークが発生し、プロペラ軸が折損することがある。従って3・17図に示すようなプロペラボス船首側にパッキングランドを設け、プロペラの押込量に影響受けることなくパッキングランドによってゴムパッキンの締付け量を調整できる確実なプロペラ取付け構造とする。

 

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3・16図 プロペラ取付部の構造

 

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3・17図 プロペラ取付部の構造

 

(9) プロペラキー構造

プロペラ軸のキーみぞに固定されたプロペラキーは、プロペラボス内側に設けたキーみぞの中に嵌め込まれる。

キー付きプロペラのキーの強度は、主機関の伝達トルクに対して十分耐えられるよう計画されるが、実際には主機関の伝達トルクがキーのみで受けるのではなく、プロペラをプロペラ軸に圧入し、押込んだ際に生じる摩擦力によっても十分プロペラに伝達されるよう計画される。

プロペラキーみぞの船首側の形状は、主機関の伝達トルクによる応力集中を緩和するため一般に3・18図に示すようなプロペラ軸表面をスプーン形状に加工することによって、キーみぞの角部からのプロペラ軸のクラックの発生を防ぐことができる。キーみぞの船尾端部は、切り通しするのが一般的である。万一プロペラボンネット内に海水が浸入した場合、浸入した海水がプロペラコーンパート部への浸入を防止する確実な方法として、プロペラ軸およびプロペラの船尾側のキーみぞとも切り通さないで、プロペラ軸とプロペラボスとのコーンパート部を接触させる構造とすることがある。

 

 

 

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