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1] 冷却水中に溶けている物質によっては腐食、スケール、あるいはスイラム(藻)障害を生ずる。

2] 腐食傷害は各種塩化物によることが多く、塩素イオンがその代表的なものである。

3] その他腐食性を判断する要素としては、pH、電気伝導度、Mアルカリ度、アンモニア度を調べる必要がある。

4] スケール障害はカルシュウム、マグネシュウムに起因することが多く、冷却器の冷却効果の低下や、高温部の亀裂の原因となる。

5] アンモニア分は冷却器のアルブラック管を腐食させるので注意を要する。

6] シリカ、マンガン、全鉄等も硬質スケールの原因となる。

 

2) 冷却水防錆剤

シリンダライナの外周部やシリンダジャケットの冷却部にみられる損傷は、一般にキャビテーションまたは電気化学的腐食によるものといわれている。

この腐食を防止するために、冷却水に防錆剤(インヒビタ)を適量投入することで金属表面に強い安定した保護被服膜を形成させる。

通常使用される防錆剤としては

(イ)亜硝酸塩系…毒性は少ないが排水の投棄の際はpH及びCOD値規制の対象となる。一番良く使用されている。

(ロ)珪酸塩系…毒性はまったく無く、排水の投棄は同上の注意が必要。

(ハ) 酵素系…毒性がまったく無く、そのまま投棄できる。

防錆剤の使用に当っては、次のような注意が必要である。

(イ) 防錆剤の投入法、濃度管理、廃液処理等は各メーカで差があるので、使用に際しては各メーカの指示に従うこと。

(ロ) 冷却水に不凍液が投入してあると互いに影響し合う場合があるのでメーカの指示によること。

(ハ) 濃度が適正でないと効果が発輝できないので各メーカの基準値に従うこと。

(二) 濃度基準値の測定は各メーカ指定の濃度測定器を使用すること。

(ホ) 冷却水中に塩分(海水混入)があると効果がでないので、投入前に塩分測定をする。

注記:COD値

廃水を清水(海水)中に添加すると、水中の酸素を還元し酸欠状態となる。

これを避けるために必要な酸素量をCOD-( )PPMとして表示する。このCOD値を満足させる方法としては、水での希釈、空気を吹き込む、酸化剤を投入するなどの方法がある。

 

3) 腐食を発生させない注意

冷却水への空気の混入は溶存酸素の含有量を増加させ腐食を助長させることになるため次のことに注意する。

1] 空気の溜まる恐れのある場所(特に冷却水管系の最も高いところ)には必ず空気抜きを設ける。

2] 清水膨張タンクには必要なヘッド(機関冷却水出口位置から3m以上)をもたせ、冷却水圧力を上げて気化現象を押さえる。

3] 清水膨張タンク内には冷却水の動揺防止のために適当な仕切を設ける。

 

 

 

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