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酸化が進むと粘度が上がり色相も悪くなり、スラッジが出て付着沈積し、機関に被害を与える。この酸化をくいとめるために酸化防止剤を添加する。

(5) 熱安定性に優れていること。

潤滑油が高温にさらされると熱分解をしてカーボンを発生する。特にピストン冷却をしている場合は高温にさらされるので熱安定性の優れたものが要求される。

(6) 錆止め性に優れていること。

機関の開放時等に誤って潤滑油に水が混入する心配があるので、錆止め性が要求される。

(7) 水分離性に優れていること。

油中に水が混入した場合、直ちに水と油を分離して除去する必要がある。

(8) 消泡性に優れていること。

泡立ちしにくい性質が必要であり、油中に泡の発生が多くなると軸受等の損傷の原因となる。

 

5) 潤滑油の選定

(1) 選定基準

最近はHDタイプを使用することが当り前となり、前述の求められる性質を満足する添加剤が含まれている。よって、選定基準としては

1] ピストン冷却の有無。

2] 使用燃料油の種類とシリンダ注油の有無(アルカリ価)。

3] 航海区域の温度条件(粘度)。

4] 外国に行く場合は日本のメーカーと業務提携している潤滑油が簡単に入手できるか。

5] 運転条件が過酷であるか、比較的楽であるか。

(2) 粘度およびアルカリ価

1] 粘度

通常、SAE30〜40が使用されるが、寒冷地で運転される場合はSAE30ないしSAE10W/30が望ましい。

2] アルカリ価

基本的には燃料油中に含まれる硫黄分によって決められるが、常に一定の硫黄分の燃料油が入手できると限らないので慎重に決定する。なお、最近はアッシュレスタイプが当り前で高アルカリの被害はあまり心配しなくて良い。

以上を基準に機関メーカーかオイルメーカーと相談して決める。

 

6) 潤滑油の更油

(1) 更油時期

1] 更油時期の基準としては潤滑油の汚れによる色相や機関内部の汚れ、機関の使用時間等で判断してきたが、清浄分散剤が添加された潤滑油は色相による判断は不適当になってきた。

 

 

 

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