4) 潤滑油に求められる性質
(1) 粘度が適正で粘度指数が高いこと。
粘度が高すぎると潤滑油自身の抵抗によって発熱し、軸受温度の上昇や動力の損失を招く。逆に粘度が低すぎると油膜が破れ金属接触を起こす恐れがある。
また、機関内部の温度は始動時と運転時或いは海水温度の違い等で大きな変化があるので温度変化の影響を受けにくい粘度指数の高いものを選ぶ。
(2) 清浄分散性に優れていること。
潤滑油中に混合した燃焼生成物や自身が酸化して生じたスラッジを油中に凝縮させず、微細な分子として分散させ、ピストンリング、リング溝やピストンヘッドの内部にそれらの汚れが膠着したり付着するのを防ぐ必要がある。
(3) 酸中和性に優れていること。
燃料油中の硫黄分により生成された硫酸分が油中に入り、各部を腐食させる恐れがある。
特に海水が混入した場合、硫酸は海水中の塩分と反応して更に腐食性の強い塩酸を生成する。この極めて有害な腐食を防ぐために強力な酸中和性が要求される。
(4) 酸化安定性に優れていること。
潤滑油は空気中の酸素と結びついて酸化反応を起こし変質して行く。また、潤滑油の温度自身が高いと、これに水や金属粉が混入するとそれらが触媒となって酸化が促進される。