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一般に小形機関におけるタペットの径はカム幅より大きくし、かつ2・64図に示すようにタペット中心線をカム幅中心より、オフセットして取付けタペットに上下運動と同時に回転運動を与え接触面全体に均等な当りが生ずるよう配慮している。

 

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2・64図 タペットの位置

 

カム軸には吸排気カムおよび燃料噴射ポンプ用カムが一体構造の方式と、吸排気カムと、燃料噴射ポンプ用カムを別構造とし、カム軸にキー止めする方式があるが、小形機関では前者の方式が一般に使用されている。なお、最近の高速機関にはインラインタイプの燃料噴射ポンプが多く使用されているため吸排気カム軸と、燃料噴射ポンプ用カム軸は別体のものが多い。カム軸に加わる力は、排気弁啓開時が最大となる。これは排気弁啓開時のシリンダ内の圧力、弁ばね力と運動部分の慣性力が加わるためである。従って一般に排気カムを軸受に近接し配置する。シリンダブロックに設けられているカム軸受の数は主軸受と同数か、1つおきとするのが一般的である。

カムと一体構造であるカム軸の材料は機械構造用炭素鋼、Cr、Mo鋼、可鍛鋳鉄等が使用され、カムおよび軸受部のみ浸炭焼入または高周波焼入によって表面硬化される。鋳鉄品はカム部のみチル硬化して使用される。

(2) 点検と整備

(イ) カム軸前後方向の遊び

遊びが大きいとカム軸が動き弁開閉時期に狂いが生じ、あるいは騒音を発する原因となるので、分解前に軸前後方向の遊びを点検する。No.1カム軸受のフランジ側端面又はスラストメタルと歯車ボス端面との間隙をスキミゲージで測定し、使用限度を超えた場合はNo.1軸受メタル又はスラストメタルを交換する。

(ロ) カム軸、カム面の摩耗点検

カムのリフト量をマイクロメータで測定し、使用限度以下になったものは交換する。又条痕、虫喰いなどがある場合は修正あるいは交換する。

(ハ) カム軸の軸受部と軸受メタルとのすき間点検

すき間が大きくなると打音を生じメタルの摩耗を早めることになる。マイクロメータで各軸受部の外径を測定し、使用限度以上摩耗している場合はカム軸を交換する。また、各カム軸受の内径をシリンダゲージで測定し、カム軸受部とのすき間が使用限度を超える場合はカム軸受メタルを交換する。

 

 

 

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