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(ニ) カム軸の曲り

カム軸の曲りが著しくなると回転が不円滑となり軸受の摩耗を早めるので、カム軸両端軸受部を、?ブロックで支え中央軸受部にダイヤルゲージを当て、振れを測定し、使用限度を超える場合は交換する。

 

9) 調時歯車列(ギヤトレーン)

(1) 構造と機能

4サイクルエンジンの場合、クランク軸からクランク歯車によってカム軸を機関回転の1/2の早さで回転させ、タペット、弁押棒を介して弁腕を動かし、定められた時期に、吸・排気弁の開閉ならびに燃料の噴射を行う役目をしており、2・65図に歯車による伝達の一例を示す。クランク軸の回転がアイドル歯車、カム軸歯車および燃料噴射ポンプ駆動歯車に伝達される。カム軸歯車及び噴射ポンプ駆動歯車はクランク軸歯車の2倍の歯数である。各々の歯車には合マークが刻印されており、これを合せることにより弁開閉時期および噴射時期が合う構造になっている。

各歯車はスパー歯車も用いられるが、高速機関では一般に騒音上有利なヘリカル歯車が用いられる。

各歯車の材料は機械構造用炭素鋼が使用され、歯には高周波焼入れ、浸炭焼入れまたはタフトライド処理をほどこし耐摩耗性を高めている。

 

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2・65図 ギヤトレーン

 

(2) 点検と整備

各歯車の歯面の損傷程度を点検する。噛合面の荒れや軽度な段付摩耗については油砥石で修正する。ピッチングや摩耗のひどいものは交換する。中間歯車ブッシュ内径と中間歯車軸径を測定し、スキマが使用限度を超える場合はブッシュを交換する。中間歯車を取付け、歯車ボス部のエンドプレーをダイヤルゲージで測定し基準内に入るようにシムで調整する。

 

 

 

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