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このような状況を図示したものをPV線図(Pは圧力、Vは容積の意味)と称し、エンジン熱力学理論の基本となっている。(1・10図参照)

PV線図は別の見方で云えばエンジンの1サイクル中に行われた仕事を表しています。燃焼と膨張行程はプラスの仕事であり、吸入、圧縮、排気の各行程はマイナスの仕事ですから、PV線図上でそれらを差引きした残りの図形(タビ形図)が仕事を表わすことになる。

1・11図はタビ形図の一例で、縦軸に指圧器から換算された圧力の値を目盛ってあり、横軸の長さ(行程容積に相当)を10等分し、タビ形内の矢印の長さを以ってその位置の圧力値を示している。いまこれらの圧力値を全部加算して、合計値を10で割れば圧力の平均値0.7MPa(7.24kgf/cm2)を求めることが出来る。この平均の圧力を膨張行程中に一定に作用させたと考えると、結局タビ形の面積で得られた仕事と同一の仕事をしたことになるので、この理由からこれを図示平均有効圧力と称し、一般に記号Pmiで表示している。

 

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1・11図

 

軸出力(SkW)は、制動出力(BkW)又は正味出力とも呼ばれ、クランク軸からの実際の動力として取り出され、プロペラや発電機などを動かす動力であり、動力計で計測される出力である。

動力計として摩擦式(ブローニ・ブレーキ式など)水動力計、電気動力計などが用いられ、まれにファンブレーキ式なども使われる。

水動力計による計測は1・12図に示すように装置し、回転数と秤の腕の長さL(m)と、秤に荷重W(kg)を測定し次式により算出する。

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1・12図

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BkW:ブレーキ出力(kW)

n:動力計の回転数(min-1)

L:動力計の腕長さ(m)

W:L位置の正味荷重(kg)

 

 

 

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